こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。
色々な人と関わり合うことで生きている私たち。
優しい人・気遣いができる人・賢い人・繊細な人・冷静で落ち着いた人・・・色々な人がいますよね。
コミュニケーションの取りやすさも人それぞれ。
コミュニケーションが取りづらい人の中でも、怒りっぽい人は特にやりにくいものです。
そして、その怒り方も人それぞれ。時と場合によっても違います。
ムッとする、無視する、反論する、大きな声で叫ぶ、怒鳴る、物に当たる、暴力を振るう・・・
特に、後半の怒り方をする人は対処が難しく、こちらのストレスも大きくなります。
物理的な暴力はなくても、「大きな声で怒鳴る人」というのは案外身近にいるものではありませんか?
家族、学校の先生、職場の上司・先輩、お客さん、すれ違った人、など。
私もかつて、職場の上司が毎日のように怒鳴り、週末にはメンバーを集めて数時間説教をするというストレスフルな環境にいたことがあります。
怒鳴り声は自分に向けられたものではありませんでしたが、あの声が耳に入るだけで「ビクッ」と身体が硬直したものです。
その職場を離れた今でも大きな声や大きな音には、過剰と言えるほど驚いてしまいます。
それだけ暴言は精神的な暴力として人を傷つけ、トラウマを残してしまうものだということですね。
今、まさに怒鳴る人と日常的に関わっている人もいると思います。
そんな方のために、今回は怒鳴る人の心理を解説し、その対処法をご紹介したいと思います。
怒鳴る人とは
怒鳴る人とは、どんなタイプの人でしょうか。
社会で生きていく中で、私たちは「立場」という概念を意識して生活していますよね。
親、先生、先輩、上司、年上の人は「立場」が「上」。
子ども、生徒、後輩、部下、年下の人は「立場」が「下」。
そう教えられてきました。
近年は「人間はみんな対等だ」という考え方も広まってきていますが、「立場」という概念はまだまだ根強く残っています。
怒鳴る人というのは、この「立場が上(と思っている)」の人に多いですよね。
また、私たちは「自分はこうしたい」「これが正しい」といったように、それぞれ自分の論理というものをもっています。
そして「人から認められたい」「〇〇を手に入れたい」といった欲求もあるでしょう。
ほとんどの人は、こうした自分の思い描く理想や叶えたい欲求を現実と照らし合わせ、折り合いをつけています。
怒鳴る人は、この理想や欲求に折り合いをつけられず、他者に強要するところがある人ではないでしょうか。
自分の指示は聞き入れられるべき立場なのに、相手が言うことを聞かない。
だから怒鳴って言うことを聞かせようとする。
このように自分の要求を、人を威圧することでしか叶えられない人が怒鳴るという行動を起こしてしまうのです。
怒鳴る人の心理
怒鳴る人には、どんな心理があるのでしょうか。
ここでは主な心理を簡単にご説明します。
・自分の立場が脅かされるのが怖い
前述したように、自分の「立場」にこだわる人が多いですよね。
その立場を守るために、威圧して相手を強制して言うことを聞かせようとする。そんな心理が働いています。
・劣等感を抱えている
実は自分に自信がなく、劣等感を抱えています。
無能な自分(だと思っている)を見透かされたくないので、相手の価値を下げるような振る舞いをし、そうすることで自分の価値を上げて安心しようとしているのです。
プライドが高く虚勢を張っていますが、それは自分の弱さを隠すための鎧なのです。
・相手の気持ちを想像する力が弱い
自分が見えているものが全てなので、他者には自分とは違う考え、感じ方があることを想像できません。
自分と同じように理解できないのは、相手の頭が悪いからだと考えてしまいます。
「相手の立場に立って考える」という視点が持てない(想像する力が弱い)ということですね。
・自分は正しいと思い込んでいる
完璧主義で、べき思考にとらわれています。
白黒ハッキリさせないと気が済まないので、相手の意見を聞いた上で自分の意見を譲歩することができません。
自分の考えや欲求を正当化しようとします。
こうした人は、小さい頃から周囲の大人にあまり認められた経験がなく、否定されることが多かったのかもしれません。
不安を積み重ね続けてきた結果、人に弱さを見せられなくなってしまったのでしょう。
そして、不安から来る怒りの感情をコントロールする方法が学べなかったという側面もあると考えられます。
不安から来る辛さを解消する方法が、攻撃的な言動となってしまった。
そんな背景が怒鳴る人には隠れているのです。
怒りは氷山の一角
怒鳴っている人が言っていることは、実はすごく表面的なもの。
本当は、自分でも気付いていない満たされない感情が隠れているのです。
まず「欲求」というものが生じますが、その欲求が叶えば「嬉しい」「楽しい」という「快」の感情が得られます。
しかし、欲求が叶わないと「悲しい」「悔しい」「不安」といった「不快」な感情を得てしまいます。
この不快な感情をこの時点で素直に受け止め、処理できれば良いのですが、その感情を見てみぬフリをして(抑え込んで)、怒りに変換してしまうのです。
「悲しい」など、本当の気持ちを見せることは自分の弱さを見せること。
それはできない。隠したい。そんな気持ちから、威圧して本当の気持ちを見せないようにしているのです。
でも、それは表面的な気持ち。
心の奥底では「わかってほしい」「察してほしい」といった気持ちも同時にあるのです。
こうした心の奥底にある本当の気持ちは、自分でも気付いていないので、より一層伝え方が不器用になってしまうということです。
怒鳴る人の対処法
・まずは深呼吸
人はパニックになると脳の酸素量が減り、冷静な判断ができなくなってしまいます。
まずは、自分自身が冷静になれるように、深く呼吸をして脳に酸素を送りましょう。
・相手の感情に注目しない
怒っている相手の感情に自分の感情も引きずられることってよくありますよね。
ですが、ここは一呼吸置いて第三者の視点で相手を見てみましょう。
自分の注目を相手の感情から、今起きていることに視点を広げるのです。
そうすると自分の中に冷静な視点が生まれます。
そして、その状態で相手の感情が落ち着くのを待ってみましょう。
・何に困っているのかを探る
怒りの感情の奥には、その人の困りごとが隠れています。
自分が困っていることを察してくれないから、理解してくれないから不安になり、怒るのです。
その困りごとは、自分では乗り越えられない精神的課題だったりもします。
怒りの根本的な原因となっている、その人の不安をじっくり観察して、探ってみましょう。
・不安を解消してあげる
何に困っているのかがわかったら、その困りごとや不安を解消してあげましょう。
困っていることを一緒に解決しようと寄り添ってもらえると、不安が薄らいできますよね。
「わかってほしい」と思っていることに、気付いてもらえるだけでも不安の解消になります。
「不快」を「快」に変えてあげることで、あなたへの信頼度が高まり、態度が変わってくるはずです。
・安心を与え信頼を得る
「この人は自分の不安を受け止めてくれるんだ」と思える人には、安心感がありますよね。
安心できる相手だとわかると攻撃的になることが少なくなります。
「大丈夫だよ。あなたを傷つけないよ。安心してね。」そんな気持ちで接して、信頼を得ましょう。
・できれば笑わせてあげる
怒っている時は(前述のパニックになっている時と同じですが)脳の前頭葉に送られる酸素が不足してしまうと言われています。
前頭葉の酸素が不足すると理性的な判断ができなくなってしまいます。
この酸素不足を解消する方法が「笑い」だと言われています。
怒鳴っている最中に笑わせようとすると、余計にヒートアップするかもしれませんが、少し落ち着いてきた頃を見計らって、「もう、熱くなっちゃって〜!」と笑って突っ込んでみるのも良いかもしれませんね。
これはあなた自身が怒りの感情に支配されたときにも使えます。
イラっとしたことをあえて笑いに変えるよう心がけると、自分の怒りの感情をコントロールしやすくなりますよ。
まとめ
怒鳴る人の対処法。いかがでしたでしょうか。
少しでもお役に立てればいいなと思います。
ここでは「怒鳴る人」をピックアップしましたが、自分が逆の立場(子どもや部下を指導する(育成する)立場)で似たような関わり方をしていないか、についても一度ふり返ってもらえたらと思います。
人はすぐにやったことの効果を感じられることを望みます。なのでたいていの場合、即効性のある方法で対処しようとするものです。人との関わりの中でも例外ではありません。力でなんとかしようとしてしまう生き物なのです。悩んだり考えたりしなくていいから楽なんですよね。
でも、受け取る側はそれを求めていませんよね。ストレスを感じます。
その広い視点が持てる方は、「自分は別の方法を選ぼう」そう思ってほしいのです。
人との信頼関係を築くのは、じっくり時間がかかるもの。
たくさん受け止め、たくさんほめて、たくさん愛を伝える。それを続けていたら、ふと気付くとその人との関係は温かなものになっているのです。
かけた時間が大きな価値となって返ってくる。そう思って人と接してみてくださいね。
<参考>
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アンガーマネジメントで読み解く なぜ日本人は怒りやすくなったのか?
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