こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。
人と関わる中で、相手にイライラしてしまったり、相手に嫌われてるかもとビクビクしてしまったり、責められているように感じてしまったりして、ひどく疲れることはありませんか?
ずっとイライラ、ゆううつ。そんなつらさを抱えているなら、その原因はもしかしたら「認知のゆがみ」かもしれません。
今回は「認知のゆがみ」について簡単にご紹介します。
認知のゆがみ
「認知」とは「ものごとの捉え方」のことです。
同じ出来事を体験しても、つらいと感じる人、やる気になる人、楽しめる人など、さまざま。認知の違いはこの差のことを言います。
認知の違いはそれぞれの個性ですが、偏った認知によってちょっとした出来事で落ち込み、心がつらくなるのは良い状態とは言えませんよね。こうした傾向を「認知のゆがみ(推論の誤り)」といいます。
過去のつらい体験が認知のゆがみを作る
認知のゆがみは、いろいろな要因が影響し合って作られるので、認知のゆがみの原因を特定することはできません。
しかし、幼少期の親との関わりや、兄弟姉妹、友だち、保育園・幼稚園・学校の先生との関係の中で、つらい経験が積み重なることで「自分は愛されない」「何もできない」といった価値基準が作られます。これを基にしていろいろなゆがんだ認知が表れると言われています。
代表的な認知のゆがみ
白黒思考
グレーがなく、ものごとの全てを白か黒かで認識するという誤った二極化をします。
どんなことも100%でなければならないと思い込み、ミスを許せません。
自分の一度の失敗を大きな挫折と感じてしまい、他者のささいな欠点も許せません。
行き過ぎた一般化
根拠が不十分なまま、早まった一般化をします。
1つの事例を全ての出来事につなげて考えてしまいます。
例えば、たった一度、問題が発生しただけなのに、その問題が何度も繰り返すと思い込んでしまうといった具合です。
心のフィルター
悪い部分に目が行ってしまい、良い部分を除外してものごとを捉えます。
世の中のことや他人、自分に対して、悲観的に考えてしまいます。
「どうせ良いことなんかない」と思い込んで行動することを拒んでしまうことが多いです。
マイナス化思考
ものごとの全てをマイナスの意味で受け取ってしまいます。
上手くいったら「これは偶然だ」と思い、ほめられても「お世辞だ」と思ってしまいます。一方、悪いことが起これば「やっぱりそうなんだ」と考えます。
自分の良い面や良いことを無視してしまうばかりか、それを悪い方にすり替えてしまいます。
論理の飛躍
根拠のないストーリーを作って、自分の中で不幸に完結させます。
「~に決まっている」と決めつける言い方をします。
<心の読みすぎ>
他人の行動や非言語コミュニケーションから論理的に起こりうる悪い結果を推測し(「○○と思っているに違いない」といった感じ)、その予防措置を取ったりします。(本人に確認はしない)
<先読みの誤り>
自分の将来について誤った先読みをするなど、ものごとが悪い結果をもたらすと推測します。悲観的な結論になる、と飛躍して考えます。
拡大解釈・過小評価
自分の失敗、短所、脅威について、実際よりも大げさに解釈してします。
逆に、自分の成功、強み、チャンスについては「そんなことない」と過小に評価するネガティブな見方をします。
感情的決めつけ
ものごとを客観的にではなく、自分の感情を根拠にして判断します。
また、自分のその考えが正しいと決めつけます。
苦手なことに取り組むときなどは特に、「できないのは才能がないから」など、事実ではなく自分の感情がものごとの真実だと見誤ってしまいます。
「~すべき」思考
「~すべきだ」「~しなければならない」と自分のルールに、自分や他人を当てはめようとします。
道徳的なことと考えているため、自分で自分にプレッシャーをかけて追い込んだり、他人に強要したりします。
レッテル貼り
「行き過ぎた一般化」が深刻になると、このレッテル貼りになります。
偶然の出来事だったり、他の要因がある出来事だったりするのに、それを人格や行動のせいにして、ネガティブなレッテルを貼ります。
誤った認知から人物像を創作してしまうこともあります。
自分自身を「ダメ人間」としたり、他人に対して「あの人はこんな人だ」と決めつけたり、自他問わずレッテルを貼ります。
誤った自己責任化
個人化とも言います。
自分がコントロールできない出来事の結果に対して、それを「自分のせいだ」と考えます。
勝手に責任感を背負い「私のせいだ」と自分を追い詰めたり、逆に「私のおかげ」と驕り高ぶったりします。
この反対が、責任は他人にあると考える「被害者意識」です。
認知のゆがみを改善するには
認知がゆがんでいると、生きづらさを感じやすくなります。
ものごとをニュートラルに受け止める「適応的な認知」に修正していくことで、ゆがみを減らし、心を軽くしていくことが大切です。
こうした認知のゆがみに気付き、適応的な認知に修正するアプローチの中核になっているのが「認知行動療法」というものです。
この認知行動療法という心理療法に基づき考えられた「認知を変えるステップ」
詳しく紹介すると長くなってしまうので、今回は参考までに14ステップをご紹介します。「実践してみよう」「詳しく知りたい」と思った方は、『図解 認知のゆがみを直せば心がラクになる (扶桑社ムック)』をご確認ください。
<認知を変えるステップ>
- 自分を客観的に捉える
- 気分に直結する自動思考に気付く
- 自動思考のゆがみに気付く
- ゆがんだ思考を変える
- 思考を打ち消すトレーニングをする
- イメージを修正する
- やりたいことをリスト化する
- 頑張ればできそうな行動を決める
- 実行のアイデアを出す
- アクションプラン(行動の計画)を立てる
- 実際に行動した結果を振り返る
- スキーマ(自分なりの価値観・評価基準)を探す
- スキーマのメリット・デメリットを検証する
- 生きやすいスキーマを手に入れる
最後に
最初はうまくいかず焦ってしまうことがあったり、1つできてもまた他のゆがみに気付いて苦しんだりすることもあるかもしれません。
そんな時のために、日頃から自分の良いところ・強み・頑張っているところを書き出しておき、振り返られるようにしましょう。
落ち込んでも良いところを思い出せることで、立ち直って前に進みやすくなるでしょう。
認知が変わると自分の心が楽になるだけでなく、周囲の人にも優しくすることができ、人間関係もうまくいくようになります。
是非この記事をひとつのきっかけにし、認知のゆがみと向き合ってみてください。
あなたの今のつらさが楽になることを心から願っています。
<参考>
認知の歪みと主観的不健康感の関係(追手門学院大学)
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