ぐろーいんぐあっぷ!

ぐろーいんぐあっぷ!

~自分の心・相手の心を理解して笑顔あふれる毎日を~ 心理カウンセラー松田ちかこのofficialブログ

いやな記憶ほど忘れられない・・・!

 

こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。

 

考えたくないのにどうしても考えてしまうこと、思い出したくないのに思い出してしまうことってありませんか?

 

嫌なことがあると、そのことで頭がいっぱいになってなんだかイライラ。

ムシャクシャした気持ちが嫌で、そのことを考えるのをやめようと思うのに、そう思えば思うほど心の中は荒れてそのことにこだわり続けてしまう・・・

こんなとき、どうしたらいいのか困ってしまいますよね。

こうした思考のメカニズムを解説し、対処法をお伝えしたいと思います。

 

 

 

自分と一体化してしまうネガティブな思考

考えちゃだめだと思えば思うほど、その思考から抜け出せませんよね。

このような思考の過程のことをスティーブン・C・ヘイズ博士(Steven C.Hayes)は「フュージョン(fusion:融合)」と呼びました。

 

ネガティブな思考をまじめに受け止め、その思考に立ち向かい続けるうち、ついにはネガティブな思考と自分自身が一体化してしまう状態です。

 

問題に立ち向かおうとする心は、外的な問題(物理的なトラブル)の処理には有効ですが、内的な問題の場合はそれを取り除こうとすればするほど自分と一体化してしまうのです。

 

「考えないようにしよう」という考えはすでにその問題に注目している状態なので、より一層そのことを考えてしまうことになり、その痛みを追体験し、一体化するということになるのです。

シロクマ実験

心理学者のダニエル・ウェグナーが1987年に行った「シロクマ実験」というものがあります。

 

<シロクマ実験>

ある集団をAグループとBグループに分け、それぞれにシロクマの映像を見せます。

Aグループには「シロクマのことを考えておいてください」と伝えます。

一方、Bグループには「シロクマのことだけは考えないでください」と伝えます。

その後、シロクマの映像のことをそれぞれのグループに質問すると、詳しく覚えていたのはなんと「考えないで」と言われたBグループでした。

 

この結果から、考えないようにすればするほど、そのことを考えてしまうということがわかった、という実験です。

 

シロクマの画像

 

「シロクマ効果」と呼ばれるこの現象は、「皮肉過程理論(Ironic process theory)」で説明されます。

思考過程を「実行過程(実際に思考を行う過程)」と「監視過程(自分の思考をコントロールしたいときに働く過程)」に分けて考えます。

「考えない」ことを「実行」するために、思考を「監視」するのですが、その「監視」をするためには「考えないこと(実験ではシロクマ)」を覚えておく必要があります。

この思考過程から「考えない」ということを達成するためには「考える(覚えておく)」必要があるとした理論です。

 

記憶を思い出さないようにしても、それは不完全でかえって思い出してしまうようになるということですね。

 

考えちゃダメと思えば思うほど考えてしまう画像

記憶の種類

シロクマ実験は、思考の過程によって考えないと意識すればするほど考えてしまい、結果的に忘れることが難しくなるというものですが、「いやな記憶」はその思考の過程だけが影響しているというわけではありません。

 

「いやな記憶」となる出来事を経験した時にも、思い出す原因はあると言われています。

 

出来事を記憶する時に、二種類の記憶がなされます。

一つは「感覚(イメージ)の記憶」、もう一つは「意味理解の記憶」。

 

実は、ふと思い出してしまう「いやな記憶」は、「感覚(イメージ)の記憶」が強すぎて、「意味理解の記憶」が上手くできなかった出来事ほど起こりやすくなると言われています。

 

そのため、頭の中にイメージを浮かべる作業(例:テトリス(2009年に実証実験も行われています))をすると、イメージの記憶が残るのを防いだり、打ち消したりする効果があります。

昔の記憶であっても思い出した直後に、まったく別のイメージを頭に浮かべることで、打ち消す効果が得られます。

嫌な記憶を思い出さないための<脱フュージョン

いやな記憶をふと思い出してしまわないようにするためには「まったく関係ないことを考えるのが良い」と言われています。

 

先ほどのイメージを浮かべる作業のように、いやな出来事を経験したり思い出したりしたら、思い出さないようにするのではなく、「テトリスをする」みたいに関係のないことを考える作業をしてみましょう。

 

 

しかし、これに少し近いものに「回避行動」というものがあります。

これは「薬物に頼る」「衝動買いをする」「テレビや動画をダラダラ見る」「仕事に逃げ込む」などの行動のことをいいます。

こうした回避行動でいやな記憶の苦しみから逃れようとする、というのは誰しも経験があると思いますが、これらの効果は一時的。苦しみはいっそう勢いを増してぶり返してくるものです。

また、感情を閉ざしてその苦しみを和らげようとすることもありますよね。こうした場合、そうすればするほど、喜ぶ力や人生に関わっていく力は弱められてしまいます。

 

せっかく幸せを取り戻そうとしているのに、逆効果になってしまうのはやるせないですよね。

 

 

そうならないためには「脱フュージョンが役に立ちます。

フュージョン」は「思考(感情)」と「自分」が一体化してしまうことですが、「脱フュージョン」は「思考(感情)」と「自分」を切り分けて考えられていう状態のことです。

 

例えば「私は今つらい」と呟いてしまう状態は「思考(感情)」と「自分」が一体化している「フュージョン」の状態ですよね。

これを「脱フュージョン」すると、「私は『つらい』と考えた」という表現に変わります。

つまり、自分の「思考(感情)」を客観的に捉えているという状態です。

自分の頭の中にある「思考(感情)」は脳が作り出したもので、あなた自身ではありません。

それを客観的に「『つらい』という感情が湧き上がったんだな」と捉えることができれば、受け止め方も変わってきます。

 

この捉え方を練習する方法として、「思ったことをそのまま日記に書く」というものがあります。日記にこだわらず、ただの紙でも良いかもしれません。

ポイントは「思ったことをそのまま書く」ということです。そうすることで、自分の思考(感情)を可視化し、「こう思っていたのか」と客観的に捉えられるようになります。

 

自分のつらい経験やいやな記憶にフュージョンした状態から脱フュージョンし、公平さを持ってきちんと受容して向き合うことができれば、呪縛から解き放たれますよね。

新たにつらい経験をした時にも、その痛みを丁寧かつ冷静に迎え入れ、いやな記憶として残さないようにすることもできるようになります。

 

「つらいな」「いやだな」と思う出来事や記憶が頭から離れない時には、ぜひこの「脱フュージョン」を意識してみてくださいね。

最後に

いやなことで頭がいっぱいになってしまった時の対処法はいかがでしたでしょうか。

今まで自分でやってきた対処法とはまったく違った方法だったかもしれません。

自分の脳なのにコントロールするのはこんなにも難しい。人間の脳の仕組みとは面白いものですよね。

でも、こうして少しずつ知っていくことで、ストレスの感じ方が変わり対処方法も適切になるので、生活の質も向上していきます。

 

ご紹介したことの中の1つだけでも一度やってみてもらえたら良いなと思います。

 

あなたがより心豊かな毎日を送れますように。

 

 

 

<参考>

自信をはぐくむ:ポジティブな自分を確立する認知療法メソッドとマインドフルネス (きっと上手くいく10の解決法シリーズ)

日本心理学会 心理学ミュージアム京都大学 松本昇先生)

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

▽いいね♡


クリックで応援してもらえると嬉しいです

 

▽現在のランキング順位を見る

心理カウンセラーブログランキング

 

▽『心理カウンセラー 松田ちかこ』ってどんな人?

 PVアクセスランキング にほんブログ村

 

▽最新情報・豆知識をチェック

 

▽また読みたいな

 

▽著書

20220808184343

◆ 『子どもたちを笑顔にする保育』

◆ 『学校では教えてくれない 子ども支援のいろは』

◆ 『新人放デイ職員のためのお悩みQ&A』