こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。
お子さんが精神的に不安定で、感情コントロールの難しさや癇癪があるなどの問題を抱え困っている方も少なくないと思います。
子どもの心を育てることが大事なことだとはわかっているけれど、どうすれば育っていくのかよくわかりませんよね。
お子さんの心の成長を考える親御さんのために、今回は「子どもの心を豊かに育てるためにできること」をお伝えしたいと思います。
子どもの動揺にどう対応するか
子どもの心を育てる上で、子どもの動揺にどう対応するかが大きなポイントとなります。
動揺しているときは、子どもの心の深い部分に触れられるチャンス。
このチャンスを逃さず対応できるかが一つの分岐点です。
では、まずは良くない例をご紹介します。
情緒的な側面で良くない対応は次の3タイプです。
- 子どもの気持ちを一切無視する
- 放任しすぎる
- 子どもの気持ちを尊重せず馬鹿にする
子どもの気持ちを一切無視する
このタイプは、子どもの心の動揺を面倒なことと受け止め、動揺が消えるまで放っておくしかないと考えます。
放任しすぎる
子どもの動揺に気付きながら、それにどう対処するかは子どもの自由だと考えます。子どもに望ましい情動反応を教えるところまで踏み込もうせず、ただ慰め、怒りや悲しみの表出を止めさせることだけを考えます。
子どもの気持ちを尊重せず馬鹿にする
子どものやることなすことを厳しく批判し、厳しく処罰します。例えば、怒りの感情を表すことを一切禁じたりするといったものです。子どもが自分の言い分を主張しようとすると、「口ごたえするんじゃない!」と一喝します。
ここまではしていない…けれど少し当てはまるところはあるかも。
そう思う方は少なくないと思います。
では、どのように対応すれば子どもの心に触れ、前向きな解決を促すことができるのでしょうか。
ポイントは次の通りです。
- 子どもの感情をまじめに受け止める
- 動揺の原因を突き止めようとする
- 心の動揺を静める建設的な方法を子どもと一緒に考える
少し面倒くさいと感じるかもしれませんが、これを毎回丁寧に対応していくことが大切なのです。
親自身も自分の感情を理解する
子どもが感情の微妙な差異を学んでいくうえで、親自身がその感情の違いをわかっていないと子どもに教えることはできませんよね。
同じ「悲しい」という感情にも
- 何かを失ったときの悲しさ
- 悲しい映画を見たときの悲しさ
- 大切な人の身に何か悪いことが起きたことを知って感じる悲しさ
など、いろいろな悲しさがあります。
こうした区別を子どもがつけられるように、親自身も豊かな感情を感じ、表現していくことが大切なのです。
これが理解できるようになると、次は怒りの感情は心が傷つけられて生じることが多いというように、他の感情もいくつか混ざり合った複雑な心の動きがあることを理解するようになります。
子どもの成長に合わせて、子ども自身が自分の感情と向き合えるように丁寧に受け止め、考えさせ、教えていかなければならないのです。
心の知能(EQ)を育てる
「心を育てる」ということをもう少し学術的に捉えると、「心の知能(EQ)」の形成を行うと言い換えることが出来ます。
▽EQについて詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みいただければと思います。
EQの基礎は生後まもない頃から形成されます。
たくさんほめられ励まされながら育っていくと、自信を持って色々なことにチャレンジしていけるようになります。
しかし、無関心であったり否定されたりする環境の中で育った子どもは、課題を与えられても「失敗するに違いない」という様子を見せます。大きくなるにつれて敗北主義的な人生観を抱き、人に期待せず楽しみも見出すことができなくなっていくのです。
このように、自信を持ち何事にもチャレンジできる人と、失敗すると思い込んでチャレンジできないでいる人との違いは、生後2、3年の間の親からの関わりで形成されるEQの基礎が関係しています。
エリクソンの発達段階説というものがありますが、この説の中で人間が一番初めに獲得する課題が「基本的信頼感」。これは生後間もない時期に一番身近な養育者を信頼できるか、不信感を抱くかというもので、まさにEQの基礎そのものです。
子どもの行動や感情ひとつひとつを肯定的に受け止め、その上でどうしていけばいいのか、この感情はどんな気持ちからくるものなのかを丁寧に教えていくこと。
これを大切にして子どもと関わることで、子どもの自信や好奇心を育て、学ぶ楽しさを知っていけるようになるのです。
必然的に学習に対する意欲も高くなるので、学校の成績も伸びやすくなります。
やはり学校の成績が気になる親御さんは多いと思いますので、良い成績につながる能力をご紹介しておきます。
学習するために必要な能力は次の7つ。
- 自信
- 好奇心
- 計画性
- 自制心
- 仲間意識
- 意思疎通能力
- 協調性
これらをできれば小学校入学前までに身につけられるようにしていくことが望ましいと言われています。このためにも心を育てる関わりを心掛けることが大切なのです。
▽エリクソンの発達段階説について詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みいただければと思います。
最後に
情動の学習は生後まもなくから始まります。
赤ちゃんは特に、時間や状況などおかまいなしに自分の欲求が満たされていないと泣き声をあげます。
それに対して、どんなときも優しく抱き上げ愛情に満ちたまなざしで語りかけてもらえた子は心が満たされ安心して眠りにつくことができます。その積み重ねが安定した豊かな心を育んでいくのです。
いつもそうできれば良いのですが、なかなか親自身も自分の情緒を安定させることは難しいものです。
しかし、親がいつもイライラしているのはどうでしょうか。泣いている赤ちゃんに「泣かないでよ!」とイライラをぶつけ乱暴に扱ってしまっていると、その子は親との関わりに緊張し、安心して眠ることができなくなってしまいます。関わりを求めても忙しいと拒絶され、ダメージを受け続けた子どもの心は豊かに育つでしょうか。
これは他者に対してイライラをぶつけてもいい、乱暴に扱ってもいいと教えている状態。「これは○○だよ」と伝えることを”教える”ことだとイメージされていたかもしれませんが、子どもは親の全ての言動を見て聞いて感じて学んでいるのです。
ネガティブな学びを与えないように、自分自身のコンディションはできるだけ整えるよう心掛けたいものですね。
身近な人からのネガティブな関わりにより、人を信頼できず、自分に自信も持てず、不安が心の中を埋め尽くしてしまっている子は、自分がこれ以上傷つかないように逃げて殻にこもったり、攻撃的になったりしてしまいます。
そのような状態になってしまうと、色々な経験をするチャンスが少なくなり、その子の可能性がより狭まります。
子どもの将来を希望あるものにしてあげたい。
そう願わない親御さんはいないはずです。お子さんの年齢にかかわらず、日々生じる感情を受け止め共に考えていく姿勢を大切にして、お子さんの心を育んでもらえることを心から願っています。
<参考>
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