こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。
子育て中の親御さんや子どもと関わる先生たちが、近年注目している、子どもの「自尊心(自己肯定感)」「自信」「主体性」。
これらを育んでいくためにどんな子育てや接し方が必要なのか、と悩まれている方も少なくないと思います。
神経発達症(発達障害)の特性があり、自尊心や自信を育みづらいお子さんもいます。
そうしたお子さんも含め、子どもたちの自信を育む方法をご紹介したいと思います。
自尊心を高めるために
自尊心とは「自らの良い面も悪い面も含めてありのままの自分を認められる感覚」のことです。
自尊心は元々備わっているものではなく、育まれるもの。
恵まれた家庭環境で育った子は、学校などの集団生活にもうまく適応しやすく、学業成績にも反映され、結果として自尊心が高まります。
これは、あまり表立って言われることは多くはないかもしれませんが、あなたもうすうす気が付いているように、これは科学的にも証明された事実なんだそうです。
ということは、つまり”個々に適した環境を与えること”がポイントとなるわけですね。
「恵まれた家庭環境」というと、ある程度お金持ちのお家を想像するかもしれませんが、「物理的環境・人的環境が子どもに適したものを提供できる家庭」であれば良いのです。
もちろん、能力は生まれ持ったものの影響を強く受けると言われているので、環境を工夫すれば全員が同じ結果にたどり着けるわけではありませんが、それぞれの最大限の能力を開花できるようにするためには、環境の工夫が必要だということです。
環境の工夫とは
物理的環境では、物事に取り組みやすいよう気が散らない工夫をした場所を作ったり、絵や文字を使って物の場所を示したりスケジュールや手順を確認できるようにするなどの工夫ができます。
人的環境としては、親をはじめとした周囲の大人の関わり方を肯定的なものに変えていくことが大切です。
しかし、闇雲(やみくも)にほめても逆効果です。
どんなところが良かったのか、チャレンジしてみたことや頑張っている姿勢などを具体的に伝えてあげることを忘れないようにしましょう。
そして、うまくいかなかったときは「悔しいね」と気持ちを受け止め、「次はこうしてみたらどうだろうか」と乗り越えるための道筋を示せるといいですね。
根拠なく「君ならやればできる!」と言うと、できるようになるための努力や工夫をしなくなってしまう恐れがあるので、肯定的な言葉掛けは必ず行動してから伝えてあげるようにしましょう。
こうした関わりを積み重ねることで、初めてのことでも積極的にチャレンジする気持ちが持てるようになり、困難に直面しても、乗り越えられるまで粘り強く取り組むことができるようになります。
主体性を育てる
子どもが主体的に行動していけるようになるためには、自分が物事を決める・自分の気持ちを言葉にするなどの経験を積み重ねていく必要があります。
「自律する子の育て方」という本では、子どもに自己決定を促す言葉として次の3つが紹介されています。
①「どうしたの?」(「何か困ったことはあるの?」)
②「君はどうしたいの?」(「これからどうしようと考えているの?」)
③「何を支援してほしいの?」(「先生になにか支援できることはある?」)
主体的に考え、判断し、行動できるようになるためには、大人が自分の考えを押し付けず、子ども自身が自分の考えや思いを素直に言語化できるようサポートすることが大切です。
そして同時に、大人に対して「助けてもらえる」「味方になってくれる」という安心感を持てることで、自分で出来ることはやってみようと思えるようになります。
このように、心理的安全性の確保が出来ていると、挑戦しようという気持ちになれます。
否定ばかりされていると、脳の前頭前皮質の機能が著しく低下するとも言われており、心理的に常に危険を感じているためリスクのある行動はとれなくなります。
安心が確保されているからこそ、リスクのあることにも挑戦できるんですね。
挑戦した経験が多ければ多いほど、能力も高まっていくことは言うまでもありません。
有能感を感じる経験が積み重なって、自尊心や自信が育まれ、自己表現の機会を得られることで主体性も育っていくのです。
最後に
子どもには自分から積極的に動き、自分で考え、自分で創造する力を身につけてほしい。
そんな大人たちの思いをどう実現させていけばいいのか、この記事を読んでいただくことで見えてくるものがあればいいなと思います。
世間一般の常識として言われていることは、実はあまり良くないことが多いものです。
「わかるまで一生懸命伝える(大きな声を出してでも)」といった方法は、多くの大人が実践している教育方法。耳が痛いかもしれませんが、これでは子どもには真意が伝わりません。
視点をクルッと変えて、子どもの気持ちになって関わり方や環境を工夫してみること。これが大切です。
「こんな言い方をしてもらったら、聞きたくなるなぁ」
「このレイアウトなら、何も考えなくても自然に行動できるなぁ」
そんな目線で考え、子どもの力を最大限に引き出せるように接してみてくださいね。
<参考>
自信をはぐくむ:ポジティブな自分を確立する認知療法メソッドとマインドフルネス (きっと上手くいく10の解決法シリーズ)
バカと無知―人間、この不都合な生きもの―(新潮新書) 言ってはいけない
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