こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。
大人も子どもも新しい環境で友達をつくるというのは簡単なことではありませんよね。
特に子どもにとっては "環境に馴染むこと≒その環境にいる子と仲良くなること" なので、お友達を作ることは重大な課題です。
小さい頃から同じ地域で暮らしてきたなら、意識しないうちになんとなく近所の子と仲良くなっていることも多いですが、引越しや進学などで新しい環境に身を置くときには、どうやって友達を作ればいいのか悩むものです。
今回ご紹介するのは、新しい地域に引っ越してきた女の子のお話。
家族から「おともだちできた?」と聞かれるけれど・・・
ラストはちょっと怖く感じる絵本をご紹介しますね。
おともだちできた?
作 :恩田 陸
絵 :石井 聖岳
発行:2017年6月29日 講談社
作者は『蜜蜂と遠雷』の恩田陸さん、イラストは『おこだでませんように』の石井聖岳さんです。
イラストと文が絶妙に融合し、女の子の心情をありありと表現しています。
子どもがお友達を作れるようにするためには、ただ子どもに任せるだけではなく大人ができることはないのだろうか?そんなことを考えさせられるかもしれません。
また、この物語はホラー性があり、特に後半は色々な考察をすることになります。
深く読めば読むほどホラーなので大人向けではありますが、作者の恩田陸さんのインタビュー記事を読むと「不謹慎な言い方かもしれませんが、読んだ子供のトラウマになってほしいと思うんです(2017/8/2 産経新聞記事より)」とおっしゃられていて、子どもに怖いものを見せないのではなく、怖いものに向き合い危機管理能力を身に付けるきっかけとなれば、という思いがあるそうです。
なので、怖い内容ではありますが、小さいお子さんであっても是非読ませてあげてほしいなと思います。
インタビュー記事のリンクも貼っておきますね。
恩田陸さん新作絵本「おともだち できた?」 作者も怖がるホラー(1/2ページ) - 産経ニュース
登場人物
・女の子
・ママ
・パパ
・近所のおばさん
・となりの犬
あらすじ
家を買い新しい街に引っ越してきた女の子の家族。
広いお家の中で遊んでいると、ママは「おともだち さがしてらっしゃい」と言います。
パパも「だれかと あそんだかい?」と聞きます。
近所のおばさんも「おともだち できた?」と聞きます。
しかし家の前の道にも公園にも空き地にも人は見当たりません。
一人で遊んでいた女の子。
夜を迎えた次の瞬間、女の子にはたくさんのお友達ができます。
パパもママも近所のおばさんも気付かないけれど、隣のよく吠える犬は気付いています―――――。
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このようなお話です。
イラストだけで表現されているところもあり、それも含めて色々と考察される部分があると思います。
女の子はなぜ急にお友達(オバケのお友達)ができたのか。
イマジナリーフレンドという解釈もあるかもしれませんし、悲しい事件に巻き込まれてしまったからという解釈もあるかもしれません。
作者の恩田さんは「解釈は、読者の皆さまにお任せします。」と仰っています。
ご自身の感受性から読み取った物語を楽しんでみてくださいね。
最後に
親にとっても子どもにとっても怖い絵本ではありますが、いろいろな視点から想像力を膨らませて何度も読み返すことができる絵本だと思います。
読めば読むほど見どころが出てくるので、非常に味わい深いです。
お友達の作り方だけでなく、子どもが自分で自分を守る力、親が子を危険から守る意識、そうしたものを改めて考える機会にもしていただけたらと思います。
お友達を作るというようなことをはじめ、コミュニケーションが難しい社会。
子ども一人で外出させることが難しい危険の多い社会。
その中でいかに生き抜いていくかが、私たちに問われているのかもしれません。
子どもたちの安心・安全を守れる社会にしていきたいものですね。
最後までお読みいただきありがとうございます
<ご紹介した絵本はこちら>
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