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~自分の心・相手の心を理解して笑顔あふれる毎日を~ 心理カウンセラー松田ちかこのofficialブログ

人は錯覚するもの

 

こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。

 

人と話をしていて、話が上手く噛み合わなかったり、捉え方の違いを感じることってありますよね。

自分が全て正しいのだから、相手を説得しなければ。そう考えてしまうこともあるかもしれません。

しかし、きっとそれでは上手くいかず、喧嘩やトラブルに発展してしまったなんて経験もあるのではないでしょうか。

 

どうして、他者と自分は捉え方が違うことがあるのでしょうか。

その原因の一つに、錯覚というものがあるかもしれません。

 

今回は錯覚について、簡単にご紹介したいと思います。

 

 

 

 

 

 

何に注目するかによって変わる

人間の知覚というのは面白く、類似した形や色、距離の近さ、なだらかな連なりなどの要素によって、1つのまとまりとして捉えるという原理が備わっています。(知覚的体制化の原理(perceptual organization))

 

図と感じられるのは、要素がグループ化されて知覚されるためで、全体に比べ小さかったり、囲まれていたり、形が対称であるなどの性質を持った領域が図(figure)と知覚されやすく、それ以外の領域は地(ground)と感じられます。(図地分凝:figure-ground segregation)

 

しかし、領域の間に大きな性質の違いがないと、知覚は安定せず、図と地が入れ変わることがあります。

これがルビンの壺で有名な多義図形で体験できる現象です。

 

<ルビンの壺>

ルビンの壺

 

ルビンの壺は、黒い部分に注目すると「壺」に見え、白い部分に注目すると「向き合った2人の顔」に見えるという錯視の絵です。

ある瞬間に認識できる図はどちらか一方だけなので、両方を同時に見ることはできません。

 

一方に注目している時、他方は背後に広がるという現象が起こりますが、これは網膜に映っていない部分を補っていることを示しています。(アモーダル補完:amodal completion)

また、日常の中で見るものはほとんどが重なり合っていますが、その重なり合った部分を補完してモノの形の全容を把握しています。

これは、脳がエネルギー消費を少なくするために単純な知覚をするようになっているから、という理由があるそうです。

 

このように、人間の認知は見たものをそのまま捉えるのではなく、ある程度処理しやすいように単純化して捉えているということがあるため、知覚しているものは必ずしも正確ではないですし、人によって差異が生まれるということにつながるのです。

どうしても惑わされてしまう

「月の錯視」というものがありますが、これは水平線近くにある満月はとても大きく見えるのに、その満月が空高く登ると同じ月とは思えないほど小さく感じられるという現象です。

 

まだ完全には解明されていませんが、最も有力な説としては、距離感によって大きさが補正されるという説です。

地平線近くに月があるときは、地上の風景などが距離の手がかりとなるため、風景に奥行き感が生じ、月が遠い距離にあると把握するので大きく見える(遠くにあるものは大きく補正される)というものです。

 

次のミュラー・リヤー錯視やエビングハウス錯視にも見られるように、手掛かりになるものの影響により、本来より補正された見え方をするのが、私たちの自然な感覚なのです。

 

ミュラー・リヤー錯視>

ミュラーリヤー錯視

ミュラー・リヤー錯視は、同じ長さの線分の両端に内向きの矢羽を付けると長く見え、外向きの矢羽を付けると短く見える錯視です。

 

エビングハウス錯視

エビングハウス錯視

エビングハウス錯視は、同じ大きさの図形でも、周囲の大きさによって図形の大きさが違って見える錯視です。

 

 

五感で感じる情報は、周囲を知るために必要なものです。

しかし、ただそのままの情報では何かしらの不具合や不都合が生じるため、自動的に補正して単純化して把握する必要があるのでしょう。

こうした機能により、私たちは本来の姿を捉えきるのが難しいのだと考えられます。

見て聞いて感じていることは主観

これらのことから、私たちが感じていることはそれぞれ全く同じではないということが考えられます。

さらに、知覚には、過去の経験も関与します。自然にできたランダムな模様が何かの絵柄に見えたりすることがありますが、これは過去に見たものが影響しています。

 

人それぞれ感じ方や考え方が違ってくるのは、仕方のないことなんですね。

 

だからこそ、感覚はそれぞれの主観であるということを前提に、人と関わっていかなければならないのです。

相手の感じていることを尊重し、自分が感じていることを丁寧に伝える。

その意識だけでも、相手との関係性が深まるきっかけとなるはずです。

自然な主観も大切にしつつ客観的な捉え方も意識する

自分と他者の感覚には差異があることを意識すると、相手を思いすぎて自分が相手に合わせていかなければと思ってしまう人もいるかもしれません。

違いがあることは自然なこと。自分を変えたり、相手を変えたりする必要はありません。

 

自分の感覚(主観)は大切にしつつ、相手と自分を含めた客観的な視点(第三者の視点)で考えられるようになると、ものごとがより冷静に理解しやすくなります。

この客観的な視点をメタ認知といいますが、自分が見ている世界だけでなく、もっと俯瞰した立場を想像して捉えるということです。

 

主観と客観をうまく切り替えながら他者と関わることで、コミュニケーションは円滑に進みやすくなります。

少しずつ意識して想像するところから始めてみると良いかもしれませんね。

最後に

今回は「錯覚」という視点から感覚の違いを捉え、何を意識してコミュニケーションを図ればいいのかを解説しました。

人の感覚という機能は奥が深くまだ解明されていないことも多いですが、想像もつかないほどの色々な機能が備わっているようですね。

経験の積み重ねや個性によって違いが生じる。だからこそ、人は他者との関係を求めたくなるのかもしれません。

違う部分、同じ部分、似た部分、それぞれを互いに楽しみながら、コミュニケーションの輪を広げていきたいものですね。

 

 

 

<参考>

知覚・認知心理学〔改訂版〕 (放送大学教材 1648)

心理学概論〔改訂版〕 (放送大学教材 1652)

錯覚の科学〔改訂版〕 (放送大学教材 1629)

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

 

 

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