こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。
児童文学『モモ』をご存知ですか。
心に深く残る物語として、今もなお人気の名作です。
時間どろぼうから盗まれた時間を人間に取り返してくれた少女の不思議な物語。
1973年刊行の児童文学ですが、現代の私たちにこそ必要な児童文学だと思います。
時間の意味を問うこの物語から、考えさせられるものが誰しもあるのではないでしょうか。
今回は、そんな児童文学のご紹介です。
登場人物
モモ(主人公)
ある日、円形劇場の跡地にやってきて住み着くようになった少女。
背が低く、やせっぽち、クシャクシャにもつれた真っ黒な巻き毛をしている。
年齢も素性もわからない浮浪児だが、素晴らしい才能がある。
それは、人の話を聞くこと。
彼女に話を聞いてもらうと、迷うがある人には意志が、悩みがある人には希望が湧いてくる。
道路掃除夫のベッポ
モモの親友。道路掃除の仕事をしているおじいさん。
ゆっくりと、でも着実に仕事をこなす。ひとあし ー ひと呼吸(いき)丁寧に。全部のことを考えず、次の一歩のことだけを考えることが大切だとモモに教える。
言いたいことを言葉にするのに、たいへん苦労するけれど、とてもよく考えて話をする。
モモのもう一人の親友ジジを軽薄だと避難したことのない唯一の人。
観光ガイドのジジ
モモの親友。『ジジ』と呼ばれているけれど、本当の名前は『ジロラモ』。
夢見るような目をした、器量良しの若者。
口から先に生まれてきたような口達者で、物語を話すことが何より好き。
モモに話すと、考えが次から次へと湧いてきて、尽きることがない。モモと出会って空想力が花開く。
ベッポとは正反対の性格だけど、本当になかよし。
変わり者のベッポじいさんを笑いものにしたことのないたった一人の人間。
灰色の男たち
灰色の葉巻をくゆらせる、灰色の服に身を固めた紳士。頭にはかたい帽子を乗せている。
それぞれに『ナンバーXYQ/384/b』などの名前がある。
時間どろぼう。
三十分さきのことがわかるカメ。
背中に文字があらわれ、会話ができる。
マイスター・ホラ
正式な名前は『ゼクンドゥス・ミヌティウス・ホラ』。
ゼクンドゥス=秒、ミヌティウス=分、ホラ=時間 という意味がある。
時間の国の<どこにもない家>にいる、時間をつかさどる人。
人間ひとりひとりに、定められた時間を配る。
近所の人たち
モモを円形劇場から追い出すわけでもなく受け入れ、モモの部屋を住みやすくし、食べ物のおすそ分けを持ってきてくれる町の人たち。
何かあるとみんな「モモのところに行ってごらん!」と言うのが決まり文句。
子どもたちもモモが大好き。モモと一緒の時ほど楽しく遊べる時はないと思っている。
あらすじ
ある日、円形劇場の跡地にやってきた、一人の少女『モモ』。
モモには特別な力がありました。それは、モモに話を聞いてもらうと悩みが立ちどころに解決してしまうというもの。
近所の人たちは大人も子どももみんなモモのことが大好き。
そんな中でも、特に仲のいい友だちは『ベッポ』と『ジジ』。モモとベッポとジジの三人は、お互いのことが大好き。この友情は変わることのないものだと信じていました。
しかし、ある日、町に灰色の男たちが現れます。それは音もなく、人目につかずに攻め込む侵略軍のよう。
彼らの登場で、すべてが変わりはじめます。
『時間貯蓄銀行』の外交員という彼らは、人間の時間を盗む計画を企てています。
目立たないように、大都会の人々の暮らしに忍び込んで、誰にも気付かれずに人間の"時間"という財産に手を伸ばしていました。
巧みな話術で人々に時間を節約させ、その時間を奪っていく。そうして人々はせかせかと忙しく生活するようになり、人生を楽しむことを忘れてしまいます。
それに気付いたモモは、みんなに話を聞いてまわります。それが、灰色の男たちのじゃまをするとは知らずに・・・。
ある時、ついに灰色の男の一人がモモに近づきます。
灰色の男の心を理解しようと、モモは懸命に話を聞こうとします。しかし、空っぽの闇の中に落ち込んでいくような感じで、相手がいないのも同然だと感じてしまうモモ。
一方、灰色の男はモモと話していくうちに、本当の声を抑えられなくなり、秘密をモモに話してしまいます。
灰色の男は逃げましたが、モモはその話をベッポとジジ、町の子どもたちに話します。
みんなでプラカードを持って町中をねり歩き、大人に時間が盗まれていることを伝えようとするのですが、うまくいきません。
しかし、このことがきっかけで、モモは本格的に灰色の男たちに狙われるようになります。
そんな時、ふと出会ったカメの『カシオペイア』。
モモはカシオペイアに導かれ、<どこにもない家>にたどり着きます。
そこは、灰色の男たちは入ってこれない時間の国です。
そしてここで出会ったのは『マイスター・ホラ』という時間をつかさどる人。
モモはマイスター・ホラに、灰色の男の正体や時間について教えてもらいます。
再び円形劇場に戻ると、そこは一年の時が経っており、人々の様子は変わり果てていました。
そして、モモは灰色の男たちから「マイスター・ホラと会いたいから案内してくれ」と頼まれます。モモは断りますが、カシオペイアの導きにより、もう一度マイスター・ホラのところへ行きます。
そして、マイスター・ホラから「灰色の男たちから時間を取り戻し、人間に返す」という仕事を頼まれるモモ。
ここからモモと灰色の男たちとの、時間という命を賭けた戦いが始まります。
モモと灰色の男たち。
どんな戦いを繰り広げるのでしょう。
そしてモモは、人間の時間を取り戻すことができるのでしょうか。
気になる方は、是非読んでみてくださいね。
分厚い本ですが、夢中になってあっという間に読んでしまえますよ。
マイスター・ホラのなぞなぞ
時間の国でモモは、マイスター・ホラにこのなぞなぞを出されます。
三人のきょうだいが、ひとつの家に住んでいる。
ほんとはまるでちがうきょうだいなのに、
おまえが三人を見分けようとすると、
それぞれたがいにうりふたつ。
一番うえはいまいない、これからやっとあらわれる。
二番目もいないが、こっちはもう家から出かけたあと。
三番目のちびさんだけがここにいる、
それというのも、三番目がここにいないと、
あとのふたりは、なくなってしまうから。
でもそのだいじな三番目がいられるのは、
一番目が二番目のきょうだいに変身してくれるため。
おまえが三番目をよくながめようとしても、
そこに見えるのはいつもほかのきょうだいだけ!
さあ、言ってごらん、
三人はほんとはひとりかな?
それともふたり?
それともーーだれもいない?
さあ、それぞれの名前をあてられるかな?
それができれば、三人の偉大な支配者がわかったことになる。
彼らはいっしょに、ひとつの国をおさめているーー
しかも彼らこそ、その国そのもの!
その点では彼らはみなおなじ。
あなたはこの答えがわかりましたか?
答えは『モモ』の作品の中で確認してみてくださいね。
ヒント:一番目は「カシオペイアが知っているもの」です。
対象年齢
小学校高学年以上。
難しい漢字はないので、とても読みやすいです。
ただ、小学生には難しい言葉もあるので、中学生以上の方がより楽しめるかもしれません。
また、色々な言葉を知り、経験を深めてきた大人には、子どもたち以上に深く感じるものがあると思います。
もしかしたら、年を重ねるごとに気付くことや楽しめることが違ってくるのかもしれません。
度々読み返して、今自分の中で感じるものと過去に感じたものの違いを感じ取ってみてください。それを繰り返しながら、一生を通して楽しむ。そんな1冊なのではないかと思います。
作者
この作品の作者は、ドイツの児童文学作家である『ミヒャエル・エンデ』。
画家のエドガー・エンデの息子として生まれ、ミュンヘンの演劇学校を出て俳優をしていたが、子どものための本を書くようになりました。
1973年に『モモ』を世に出し、1974年にドイツの児童文学賞を受賞しました。
さいごに
この作品を読むと、自分が何か大切なものを忘れて生きていたことに気付かされます。
現代の生活はとても慌ただしいものです。便利になればなるほど忙しさは増し、時間があっという間に過ぎてしまう。そんな時代を生きる私たち。
ゆっくりできる時間がないな。家族と過ごす時間、自分の好きなことをする時間・・・いつになったら、どれくらい働けば得られるんだろう・・・。
そう思うことはありませんか。
『モモ』の物語の中で、人々が灰色の男たちに時間を盗まれ、どんどん変貌していく場面がありますが、その様子はまさに現代の私たちのようです。
きっと「自分を生きなかった時間」すなわち「時間どろぼうに盗まれた時間」が私たちにもあるのではないでしょうか。
とても不思議で極めて日常的。すべての人が関わり合い、よく知っているのにそのことを考えてみる人はほとんどいない『時間』。永遠のように感じたり、一瞬のことのように思える、計ることが難しいもの。人間の人生そのもの。
この当たり前だけど大切なことを『モモ』は教えてくれます。
あなたの心の中にある時間は、あなた自身が本当に使いたいものに使えていますか?
灰色の男たちによって時間が死んでしまうと、無気力になり、憂鬱になり、心の中は空っぽになる病気『致死的退屈症』になってしまうそうですよ。
「やらなきゃいけないこと」は本当に必要なことなのか。今一度 見直して、ゆったりと自分の時間を過ごす人生を取り戻してくださいね。
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