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~自分の心・相手の心を理解して笑顔あふれる毎日を~ 心理カウンセラー松田ちかこのofficialブログ

これって愛着に問題があるの?

 

こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。

 

子どもと日々関わっていると、うまくいかないことも多くて悩みは尽きませんよね。

その中でも、行動の問題への対応・指導に「手に負えない…」と感じることはありませんか。

こうした子どもたちを理解していくためには、どうしたらいいのでしょうか。

 

 

 

増加する愛着の問題

 近年、"言うことを聞かない"、"注意すると余計に悪化する"、"暴力行為が抑えられない"、といった行動の問題を抱える「気になる子」が増えています。

また、こうした行動の問題を抱える子の他に、うつ・不安障害・摂食障害自傷行為・依存症・解離性障害 といったものを抱える子も増えています。

このような子どもたちを理解する上で必要なのは、愛着の問題を考えることです。

なぜ愛着の重要性が叫ばれているのでしょうか

愛着関係は子どもの安定した心の成長に大きな影響を与えます。乳児期に特定の人との間で安定した愛着が形成されることで、生きる世界に対し基本的信頼感を獲得し、自分を肯定的に捉え、周囲とも肯定的に関わっていけるようになります。

 

愛着の形成が十分でないと、他者や生きる世界に対してだけでなく、自分に対しても不信感を抱き、いつも心が不安定な状態になってしまいます。その状態から孤独や愛情飢餓感じ、それを紛らわそうと依存的な行動を起こすようになるのです。こうしたことから、愛着の形成が不十分だと様々な行動の問題や精神的な病に繋がってしまうのです。

 

そして、この問題は虐待やネグレクトなどのような不適切な関わりの中だけで起きるのではなく、教育熱心な養育環境でも起こりうるものなのです。

さらに言えば、子どもの問題や親の育て方の問題ということではなく、二人の間にできる「絆」がどのように結ばれているかということの問題なのです。

愛着とは

特定の人(親子関係に限らない特定の一人)に対する安定した情緒的絆のことで、アタッチメントとも言います。

子どもにとって養育者との関係は人生の最初にもつ重要な人間関係で、この関係の中で安定的なコミュニケーションパターンを確立することが愛着の基盤となります。

3つの愛着機能

愛着には以下のような3つの機能があります。

 

【安全基地機能】恐怖や不安から守ってくれる

【安心基地機能】そばにいると落ち着く、ホッとする

【探索基地機能】離れても大丈夫、離れて行ったことを報告して認めてもらう

 

これらが機能せず、愛着が未形成、不完全な状態が愛着障害と言われるものです。

愛着のメカニズム

愛着はどのように形成されるのでしょうか。

ハーロウによるアカゲザルの愛着形成の実験というものがあります。

針金で作られた母親の模型と毛布で作られた母親の模型を用いた実験で、針金の母親には哺乳瓶をつけてミルクを飲めるようにし、毛布の母親には哺乳瓶をつけずに育てたところ、ミルクをもらえるかということに関係なく、温かい肌触りの毛布の母親に強い愛着を示しました。このことから、食べ物を与えてくれるから愛着が形成されるというよりも、ぬくもりのある対象に対して愛着は形成されるということが分かりました。

 

人間は未熟な状態で生まれるため、人間にとって愛着を形成・維持しようとすることは、生きるために必要不可欠なことです。そのため、生まれながらに誰かとの相互作用を求め、目に入るものをじっと見つめ、微笑みかけ、声を発します。その対象に選ぶのは温かく守ってくれる存在です。そして、人物の識別ができるようになってくると、特定の人物にのみそうした行動で愛着を示し、これを基盤として外界と接し、他の人とも愛着を形成するようになるのです。

 

このように、愛着を築く対象が温かく安心できる存在だと認識できることで、愛着は安定して形成されます。

愛着の形成によって得られるもの

愛着の形成がうまくいくことによって、以下のものが心に芽生えます。

 

○ソーシャル・コンピテンス

 自分の働きかけに対する自信

○基本的信頼感

 他者に対する基本的な信頼

 

これらは、養育者以外との人間関係を形成していく上での基礎となります。

所謂、エリクソンの発達段階説の1つ目の段階にあたります。(※発達段階説については別の機会に紹介させてもらいます。)

愛着の形成パターン

子どもとの関わり方を振り返るうえで、愛着の形成パターンを知ることも大切です。 

乳児期の愛着の形成パターンはエインズワースによるストレンジ・シチュエーションという実験で3タイプに分類されました。

【Aタイプ(回避型)】

養育者との分離場面で、泣いたり混乱を示すようなことがほとんどなく、再会場面でも、嬉しそうな態度を示さず、親から目をそらしたり、親を避けようとする。

ある程度の不安感では養育者には近接しない。安心の基地として使わない。

【Bタイプ(安定型)】

養育者との分離場面で、ぐずったり、泣いたりと多少の混乱を示すが、再会場面では積極的に身体接触を求め、嬉しそうに親を迎え入れる。

不安な時に養育者に近接し、不安感をやわらげる。養育者を安心の基地として使う。

【Cタイプ(アンビバレント型)】

養育者との分離場面で、適度な不安や抵抗を示すが、再会場面では、親に強く身体接触を求める一方で、親に対して強い怒りを示すなど、相反する行動が見られる。

全般的に不安定で用心深い。養育者に執拗に接触していることが多く、安心の基地として離れて探索行動を行うことができない。

 

また、この3タイプの他、アタッチメント行動が組織化されていないDタイプ(無秩序・無方向型)の存在も指摘されています。これは、養育者に顔をそむけながら近づいたり、しがみついたかと思うとすぐに床に倒れこんでしまうというように、矛盾した行動が生じるといったものです。

 発達障がいとの関係は?

 愛着障害と発達障がいは現れる状態が似ていて混同されやすいのですが、発達障がいは先天的な脳機能障害で、生まれつき持っている特性から「行動」や「認知」の問題があることが特徴であることに対し、愛着障害は後天的な関係性の障害で、「感情」の問題があることが特徴です。実際のところは、専門機関や医療機関でも適切な峻別・鑑別アセスメントがされていないのが現状です。

そして、精神医学的診断基準では認められていませんが、発達障がいと愛着障害が併存しているのも現状です。

発達障害の子どもはその特性から愛着形成や感情発達の問題を持ちやすい傾向にあるので、より細やかな関わりや専門家のサポートが必要になります。

どう関わっていけばいいの?

人は生まれながらに、誰かとの相互作用を求め、楽しむという性質をもっています。愛着関係を形成するには、生理的な欲求を満たすだけでなく、コミュニケーションによる情緒的な欲求を満たすことが大切です。

子どもが表現するものを温かく受け止め、自分で出来たことは出来るたびに褒める。共に喜び、辛いことには共感し、慰める。どんな人間関係においても必要なこうした関わりが、安定した愛着関係を形成する要となるのです。

時間や心の余裕がないと言われるかもしれませんが、こうした関わりを優先することでその後が大きく変わります。

子どもは”大人に守られている”、大人は”子どもを守っている”とお互いに認識できるように、心と時間に余裕を持てる環境づくりをしましょう。

 

そして、既に愛着形成が不十分であったり愛着障害であったりしても諦める必要はありません。これらは取り返しがつかないものではなく、適切な愛着修復の関わりをすることで改善されます。一人で悩まず、ぜひ専門家に相談してみてください。

 最後に

愛着の問題は、子どもと向き合い、理解し、心を通わせることができているか、という視点で向き合うことが必要です。私が今回参照させていただいた米澤先生の著書でもこのように書かれています。

子どもが欲しているときに、欲しい愛情をもらえていない問題であり、子どもが欲していないときに、欲しくない愛情を押し付けられている問題でもある(米澤好史)

大人の思いやタイミングを押し付けていないか、子どもの思いやタイミングを細やかに感じ取れているか、そうしたことを意識し、子どもとの関係を築いてみてください。

また、このように子どもと向き合う人が心に余裕を持てるよう、周りの人も温かな気持ちで支えてあげてください。たった一つの行動であっても、それが悲しい結果を減らすキッカケとなります。

 

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<参照>

やさしくわかる! 愛着障害―理解を深め、支援の基本を押さえる』(米澤好史)

事例でわかる! 愛着障害―現場で活かせる理論と支援を』(米澤好史)

愛着崩壊 子どもを愛せない大人たち (角川選書)』(岡田尊司