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~自分の心・相手の心を理解して笑顔あふれる毎日を~ 心理カウンセラー松田ちかこのofficialブログ

療育って何だろう?

 

こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。

 

神経発達症(発達障害)の子どもたちを支える「療育」というものをご存知ですか。

子育て中の親御さん、子どもに関わる仕事をしている人は、どこかで耳にしたことがあるかもしれません。

しかし、言葉は聞いたことがあっても何のことかイマイチよくわからない。

 

何をするの?それで発達障害が治るの?どこか特別な施設があるの?

そんな疑問がありますよね。

 

今回は、「療育」とは何なのか。また、代表的な療育支援についてご紹介したいと思います。

 

 

 

 

 

療育とは?

療育とは、神経発達症(発達障害)の特性を持つ子どもの自立支援のことです。

特性によって引き起こされる、生活上の困難、生活のしにくさ(生活障害)を軽減するために、発達障害のある子を理解し、その理解に基づいてその子に必要なことをその子に適した方法で教えていきます。”障害”を訓練して”普通”の子どもに近づけることを目的にしたものでは決してありません。その子が持っている力を活かし、心地よく楽しい毎日を送れるようにする。そんな視点で行うものです。

 

よく、子どもが言うことを聞かないときには大きな声で怒ることがあると思います。

しかし、発達の特性があるとどうしたって「わからない」。「わからない」ことに対していくら怒鳴っても行動の改善には全く効果がないどころか、むしろ動揺させることによって、より悪い結果を招くことになります。

 

そのため、療育者は子ども一人一人の特性を理解した上で、その子がわかるように、その子の力を引き出す関わりをしていき、生きづらさを和らげていけるようにしなければならないのです。

 

 

また、「療育」という言葉は「治療と教育」を略した言葉で、元々は身体障害のある子どもへの治療と教育を合わせたアプローチを表す用語でした。

身体構造の発達を促す治療的側面と、知能や精神の発達を促す教育的側面を併せ持つことで、子どもの発達全体を支えてあげられるようになります。

現在は、身体障害に限らず、障害のある子の発達を支援する働きかけの総称として使われる用語となりました。

 

発達障害の場合、早期に療育を行うことで特性そのものが治ることはないものの、うつや不登校、人間関係のトラブルといった二次障害を予防することができると言われています。

 

どこで受けられる?

療育を受ける方法には、次の3つがあります。

  1. 通所して療育を受ける
  2. 専門職の訪問を受ける
  3. 入所して療育を受ける

 

<通所して療育を受ける場合>

ほとんどの場合、通所で療育をうけることになりますので、ここでは通所の場合についてご紹介します。

通所で療育を受ける場合、次の4つの施設があります。

  1. 医療機関
  2. 児童発達支援センター
  3. 児童発達支援事業所
  4. 放課後等デイサービス

医療機関

 対象:診断名があり、医師から療育の指示が出た子ども

 費用:健康保険で利用できる。1回1,000~3,000円程度

 

児童発達支援センター

 対象:市区町村が療育が必要であると認めた子ども

    受給者証を取得している

    0歳~就学前

 費用:1回5,000~10,000円程度(受給者証で多くの場合自己負担が1割になり、負担上限月額4,600円で利用できます※所得に応じて変わります)

 

③児童発達支援事業所

 対象:市区町村が療育が必要であると認めた子ども

    受給者証を取得している

    0歳~就学前

 費用:1回5,000~10,000円程度(受給者証で多くの場合自己負担が1割になり、負担上限月額4,600円で利用できます※所得に応じて変わります)

 

④放課後等デイサービス

 対象:小学1年~18歳までの子ども

    受給者証を取得している

 費用:1回5,000~10,000円程度(受給者証で多くの場合自己負担が1割になり、負担上限月額4,600円で利用できます※所得に応じて変わります)

 

お子さんの症状、お薬が必要かどうか、通所に負担のかからない場所、受けられる療育、費用、年齢などによって選択肢は変わってくると思います。

市区町村によって違いがある場合もありますので、気になる施設には問い合わせをしてみてください。

そこの職員さんとの相性もあります。お子さんに合っているかを確かめながら、納得のいく施設選びをしてみてくださいね。

 

また、18歳以上の成人の場合は、発達障害者支援センターや精神科・心療内科デイケアに相談してみてください。

具体的な支援方法

神経発達症(発達障害)のお子さんの症状は、同じ診断名でも一人ひとり違います。

その子に最適な療育を行うことが大切なので、お子さんが楽しんで通えるということも含めて慎重に選んでいきましょう。

 

作業療法

作業療法士(OT)によって、様々な作業や手工芸などを行います。

腕や手指の動きなどの機能訓練や、着替え・食事・排泄などの生活関連動作がうまくできる方法を検討し自分でできるようにする日常生活動作練習、社会性を育むためのグループ活動をするなどの社会生活の援助などを行い、生活していくために必要な動作や社会に適応するための能力の回復や向上をめざします。

言語療法

言語聴覚士(ST)によって、遊びを通して言葉の発達を促すものです。

単に言葉を教えるのではなく、遊びの中で言葉や言葉に代わる表現方法(身振り、手話、写真やシンボル、文字言語)を獲得できるように支援します。

この他、聞こえ、言い間違い、発音、吃音、場面緘黙への対応や、食べ物を噛む、飲み込むなどの動作ができるようにも支援します。

感覚統合療法

感覚の入力や統合が適切にできるような活動を行います。

人間には、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)と固有覚(骨と筋肉の位置と傾きに関する感覚)、前庭覚(回転や傾き、スピードについての感覚)という7つの感覚があり、これを脳に送りその感覚を脳内で統合(感覚統合)し、その統合した情報に基づいて筋肉を動かす、という一連の動作を行いますが、発達障害の場合、感覚の問題、感覚統合の問題、動作の問題がある場合があります。

そうした問題に対して、刺激を与える活動を行うのが感覚統合療法です。

例えば、前庭覚・固有覚が未発達で姿勢が保てないような子の場合はブランコなどの活動で前庭覚が刺激されるようにします。

音楽療法

音楽が自律神経系や免疫系、ホルモン系へ与える影響から、子どもの生理・社会性・心理に働きかけるものです。

言葉がなくても音楽でコミュニケーションがとれることから、表現手段の一つとして音楽を取り入れたり、音楽を聴くことで緊張を緩め、周囲と落ち着いて関われるようになるといった効果もあります。

音楽を聴くものを受動療法、歌う・楽器を演奏する・ダンスなどは能動療法と言います。

ビジョントレーニン

「見る」力の基盤である眼球運動能力や視覚認知力の向上を目指します。

眼球運動に問題がある場合、モノを探す・読み書き・板書の書き写しが苦手になります。また、モノの位置や向きを認識する能力が弱いと、姿勢の保持・スムーズな動作が苦手になります。

こうした問題に対し、眼球運動や視覚認知のトレーニングを行うのがビジョントレーニングです。

認知行動療法

不安や怒りなどが生じた問題に対して、認知(物事の受け取り方や考え方)にアプローチして変化を促すことで対処しようという心理療法のことです。

自閉スペクトラム症の場合、怒りの感情が湧き上がるとそれをコントロールすることができず、相手を攻撃するなどの行動になりやすいのですが、怒ったできごとを客観的に捉え、攻撃以外に対処方法はなかったのかを考え直して行動の改善につなげます。

ABA(応用行動分析)

子どもの気持ちや行動の原因を①きっかけ②行動③結果という3点から分析するものです。

例えば、スーパーでお菓子が欲しいと泣き叫んで渋々買ってあげたという出来事の場合、①お菓子を見つける②泣き叫ぶ③お菓子が手に入る となります。「お菓子なし⇒泣き叫ぶ⇒お菓子あり」と学習してしまっているので、泣き叫んでもお菓子が手に入らないことを学習しなければなりません。「泣き叫んだ場合はお菓子は買わない、泣き叫ばなかった日はお菓子を買う」に対応を変化させることで、泣き叫ぶという困った行動を減らしていくというものです。

しかし、ABAは大人が望むように子どもの行動を変える(コントロールする)ものではありません。子どもが望む形で刺激を与え、スムーズに好ましい行動ができるように促すものです。

なので、子どもの気持ちを考えながら行っていくことが大切です。

また、ペアレントレーニングはこのABAをベースにプログラムがつくられています。

SST(ソーシャルスキルレーニング)

家庭や学校社会でのルールの理解、自分の感情コントロール、他者の感情への気付き、自己表現、他者への関わり方などのソーシャルスキルを学ぶものです。

発達障害の特性として、他者の感情の読み取りの難しさ、自分の感情コントロールの難しさがあります。その特性によって生きづらくならないように、自分の気持ちや他者の気持ちを考える練習をしたり、人にどう伝えると良いのか、どう行動すればいいのかを学んだりします。

TEACCH

発達障害の子どもが持つ独特の認知スタイルを尊重し、そのスタイルに合った環境を考えるものです。これを構造化といいますが、目で見えないイメージなどを目で見える形にすることを視覚的構造化、場所を区切って”何の目的で使用するのか”を見て分かるようにする物理的構造化といいます。

構造化によって、「やるべきことの内容がわかる」「混乱せずに時間の流れが理解できる」「やるべきことに適切に注意を向けられるようになる」といったことが期待されます。

療育は家族にもプラスの面がある

発達障害の特性を持つ子どもは、個性が非常に強く周囲と折り合いをつけることが難しい場合があります。

それによって誤解を受け、孤立することがあります。

 

そうしたお子さんに対して、親御さんも日々できるだけのことをしているのですが、報われない気がして途方に暮れて疲弊してしまっています。

 

このように、お子さんも親御さんもつらさを抱える中で、支えになってくるのが療育。

療育を受けることで、お子さん自身が周囲との関わり方や自己コントロールの仕方を身に付け、親御さんはその間休息をとることができます。

 

さらに、親御さん自身がペアレントレーニングを受けることで、お子さんへのより適した関わり方や環境の作り方を学び、療育との相乗効果を高めることもできます。

 

療育をきっかけに、家族がプラスの関係を築いていけるようになる。

これが子育てを支える援助者たちが、療育やペアレントレーニングを通して願っている未来です。

最後に

親御さんと子どもが安心して日々を過ごすこと。これが何よりも大切です。

全てを自分だけで抱えようとせず、色々な人を頼ってください。

時には、レスパイト(一時的に預かりサービスを利用し、家族が休息をとる)というものを利用しても良いと思います。

療育は子どもとそのご家族を応援するためにあるもの。一緒に成長を考えてくれる連携先です。

同じ悩みを抱えている人たちにも出会えて、悩みを話せることで気持ちが楽になるかもしれませんよ。

 

いかがでしたでしょうか。

療育を少しでも知ってもらえる機会になれば幸いです。

 

 

 

<参考>

発達障害の子の療育が全部わかる本 (こころライブラリー)

発達障害がある子の会話力がぐんぐん伸びる おうち療育をはじめよう! (こころライブラリー)

発達が気になる子どもの療育・発達支援入門: 目の前の子どもから学べる専門家を目指して

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

 

 

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◆ 『子どもたちを笑顔にする保育』

◆ 『学校では教えてくれない 子ども支援のいろは』

◆ 『新人放デイ職員のためのお悩みQ&A』