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TEACCHプログラムとは


こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。

 

神経発達症(発達障害)の子どもの療育のひとつに『TEACCHプログラム(ティーチプログラム)』というものがあります。

主に自閉スペクトラム症(ASD)の特性をもつ人を対象としたものです。

 

今回は、この『TEACCHプログラム』についてご紹介したいと思います。

 

 

自閉スペクトラム症の中でも知的障害の伴う状態についての支援を中心に考えられたプログラムであるため、かつての呼称である「自閉症」という表記をしています。

 

 

 

 

TEACCHプログラムとは

TEACCH(Treatment and Education of Autistic and related Communication-handicapped CHildren)プログラムは、アメリカのノースカロライナ大学のエリック・ジョブラー教授(Eric Schopler,1927-2006)らによって、1960年代半ばから始められた自閉症自閉スペクトラム症)の特性をもつ人とその家族のための生活全般における総合的なプログラムのことです。

 

想像力を働かせることや視覚化できないものを理解することが非常に苦手な自閉症の人たちのために「視覚的構造化」「物理的構造化」などの手法を考えだしました。

 

TEACCHモデルの延長線上に、ペクス(PECS:Picture Exchange Communication System)という絵カード交換式コミュニケーションシステムや、ソーシャルストーリー(Social Story)という、文章交換式の意味や意思の伝達に基づいた教育の支援の方法が開発されています。

これは、自閉症の子ども、人が、視覚的な情報から意味や概念を見出し適応する傾向や特性が強いため、それを活かしたものです。

基本理念

「協力」による「協働」

本来持っている優れた能力に注目して、それが十分に発揮できるように支援し、自閉症の人はそのまま、できるだけ自立的な活動をしながら、周囲の人たちと共生・共働することを目指しています。

 

無理に彼らを一般的な社会環境に適応させるのではなく、周囲の人たちが自閉症の特性(捉え方や感じ方など)を理解して、彼らが社会に適応しやすいように支援をしてQOL(生活の質:Quality Of Life)を高めていこうという考えのもと行われています。

原理

TEACCHプログラムの原理は次の通りです。

 

自閉症の障害の本質は中枢神経系を含む器質的な問題であり、それが彼らの見る世界や状況の見通しに混乱や影響を及ぼしていること

②療育は両親(家族)と専門家が親密な協力関係で実施すること

③療育者はスペシャリストであることを超えてジェネラリストであること

④療育プログラムは包括的に調整されなければならないこと

⑤人生全般にわたって支援されなければならないこと

⑥療育はあくまで個別化の概念のもとに行われること

自閉症児のためのTEACCHハンドブック―改訂新版 自閉症療育ハンドブック (ヒューマンケアブックス)より)

構造化

自閉症の特性を持つ子は耳で聞いた言葉は記憶に残りにくく、空間や時間といった漠然としたものの把握や想像力を働かせるコミュニケーションが苦手。

一方で、目で見たものを理解するのは得意なので、空間や時間、手順などを「見てすぐわかる」ように作り変え、子どもが安心して過ごせるように環境を整えることを「構造化」といいます。

 

例えば、「ここからここまでは〇〇していい場所」と場所ごとに区切り、「何の目的で使用するのか」を見てわかるようにします。これを「物理的構造化」といいます。

また、スケジュール表を活用して見通しが立つようにしたり、手順表を用意してそれを見ながら一人でできることが増やせるようにしたり、絵カードなどを見せながら指示や意思を伝えるようにします。これは「視覚的構造化」といいます。

 

 

▽フリー画像サイトにも、こうした画像がありますよ。

 

療育

いくつかの療育法を単独に実施したり、単純に組み合わせて行うだけでは不十分で、療育者は自閉症の人が周囲の世界をどのように見たり感じたりしているのかをできるだけ詳細に理解して、一般的な感覚との間にあるギャップを丁寧に埋めていくように援助していかなければなりません。

 

また、子どもについて他の誰よりもよく知っている両親と協力することも大切で、この協力体制により大きな成果をあげられるとも考えられています。

 

最後に

TEACCHプログラムの構造化のアイデアは、定型発達の子どもにとっても理解しやすく、よりスムーズな行動を促すものとして利用することができます。

レジに並ぶ時、足のマークに従って並んだりもしますよね。目からの情報の入りやすさを上手く利用して生活環境を工夫してみることで、みんなのQOLの向上に繋げていく。そんな風に活用してみることも大切ですね。

 

しかし、自閉スペクトラム症の特性が強い場合や知的障害を伴う場合などは、適切な支援が必要になりますので、TEACCHプログラムのトレーニングを受けている専門家(大学などが中心に行っています)に相談し、個々の状況に合った療育を受けてくださいね。

 

この記事が、少しでもあなたのお役に立てれば幸いです🍀

 

 

<参考>

自閉症児のためのTEACCHハンドブック―改訂新版 自閉症療育ハンドブック (ヒューマンケアブックス)

TEACCHプログラムによる日本の自閉症療育 (学研のヒューマンケアブックス)

自閉症児のための絵で見る構造化―TEACCHビジュアル図鑑 (学研のヒューマンケアブックス)

自閉症児のための絵で見る構造化〈パート2〉―TEACCHビジュアル図鑑 (学研のヒューマンケアブックス)

発達が気になる子どもの療育・発達支援入門: 目の前の子どもから学べる専門家を目指して

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

 

 

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