ぐろーいんぐあっぷ!

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~自分の心・相手の心を理解して笑顔あふれる毎日を~ 心理カウンセラー松田ちかこのofficialブログ

コグトレをご存知ですか?

 

こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。

 

コミュニケーションが苦手だったり、人の話が聞けずボーッとしたり、感情のコントロールが難しかったり、うまくいかないことが多い子ども。

そうした子どもは、気になる子ども・問題のある子どもと見られ、注意や叱責を受けやすいものです。

だけど、その子自身はとてもやさしい心を持っていたり、周囲のことをよく観察しよく気が付いてくれたりもする。

そんな良いところが伝わらないのがもどかしいな・・・

 

親御さんは、そんな風にも思っているのではないでしょうか。

子どもたちが生きづらさを感じないように、私たち大人に何かできることはないか。そのひとつが「コグトレ」です。

 

今回は「コグトレ」についてご紹介します。

 

 

 

 

 

コグトレとは

コグトレとは、認知機能に特化したトレーニングのことで「Cognitive Training(コグニティブ トレーニング)」の頭文字をとったものです。

 

少年院に来てしまった少年たちがそれまでの人生の中で、生活の何に困り、どんなところでつまづくのかを考え、研究されて生まれました。

認知力、対人力、身体力アップを目指したトレーニングです。

現在では、非行少年だけではなく学校教育の場面で取り入れられるようになってきています。

生きづらさを感じている子どもが非行に至る前にこうしたトレーニングと出会える機会が広がりつつあるのはとても喜ばしいことですね。

生きづらさを抱える子どもの特徴

生きづらさ、しんどさを上手に表現できれば、大人も気付きやすくなるのですが、なかなか表現できないのが現状です。素直に助けを求められないどころか、困った行動・不適切な行動として表れ、大人を困惑させてしまいます。

しかし、こうした問題行動は、子どもからの生きづらいというサインでもあります。

問題行動の背景には何があるのかを突き詰めたのが、つぎの「生きづらい子どもの3つの特徴」になります。

 

<生きづらい子どもの3つの特徴>

1.認知力の弱さ(学習面)

  見たり、聞いたり、想像したりすることが苦手で、教育を受ける土台が弱い。

2.対人力の弱さ(対人面)

  人の気持ちが分からない、すぐにキレる、柔軟さがない、自分のことがよく分からない、基本的な人との接し方が苦手。

3.身体力の弱さ(身体面)

  運動音痴、手先が不器用など、身体の使い方の問題がある。

 

こうした特徴があることが、生きづらさの原因としてあるなら、そこをサポートしたりトレーニングで少しでも向上できるようにすることも、子どもの将来を左右する重要な支援となるのではないでしょうか。

3つのトレーニン

コグトレには、目的別に3つのトレーニングがあります。

学校や社会で困らないために必要な「学習面」「社会面」「身体面」の3つを改善・強化し、子どもを支援する包括的プログラムです。

 

1.認知機能強化トレーニング:COGET(学習面)

2.認知ソーシャルトレーニング:COGST(社会面)

3.認知作業トレーニング:COGOT(身体面)

 

ワークシートを使ったトレーニングで、時間も長くて20分程度で終わります。

認知力を高めるためのワークシートでは、例えば「たくさんのイラストの中からリンゴにチェックを入れて数を数える」といったものがあります。

対人力を高めるためのワークには、「イラストを見てその人たちがどんな気持ちかを想像して書き、なぜそう感じたのか理由も書く」といったものがあります。

身体力を高めるトレーニングは、実際に身体を動かしてトレーニングするためのプログラムが示されています。

 

実際のワークシートはこの本に掲載されてます。

 


不器用な子どもがしあわせになる育て方 ー コグトレ

コグトレを行う上での注意点

コグトレは続けていくことで効果が見えてくるものです。

なので、継続できるように

・長時間やらない(子どもがやりたいと言っても、20分程度まで)

・強制的にやらせない

・できなくても、やらなくても、叱らない

・他の子と比較しない

・回答数や実施数などで高い目標を目指さない

といったことに気を付ける必要があります。

最後に

私が以前、児童相談所一時保護所で勤務していた時に出会った子どもたちは、虐待だけではなく、非行や不登校家庭内暴力などの問題を抱えていました。

問題行動を起こす背景には、幼少期からの親や先生たちからの不適切な関わりや虐待がありました。

知的障害や境界知能、神経発達症(発達障害)を抱えている子はその特性があるがゆえに、できないことを責められたり、みんなと同じようにすることを強要されたりしてしまうことも少なくありません。

大人のそうした対応に嫌でも適応できてしまう子は、それ以上責められることはありませんが、発達特性により適応できない子は、より一層つらい思いをすることになります。

それが、非行や不登校家庭内暴力、さらに進むと犯罪にまで繋がってしまうのですね。

生きづらさを抱えた子を減らすために、自分で考え自分で判断する力を付けてあげるのが「コグトレ」です。

こうしたトレーニングがあることをたくさんの人に知ってもらいたいと思います。

 

この記事を読んで、コグトレに興味を持たれた方、実際にワークをしてみたいと思われた方は、「ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書)」で有名な宮口幸治さんが書かれた「不器用な子どもがしあわせになる育て方 ー コグトレ」を読んでみてくださいね。

 

 

<参考>

不器用な子どもがしあわせになる育て方 ー コグトレ

こんなとき、どうする?発達障害のある子への支援 小学校 (特別支援教育をすすめる本)

コグトレ実践集

 

<宮口幸治さんの記事>

不器用な子が「暴走する大人」になる1つの経緯 「生きづらさ」を見逃された子どもの"その後" | 子育て | 東洋経済オンライン

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます

 

 

 

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