こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。
おそらく人の悩みの多くは、人間関係に関するものではないでしょうか。
さまざまな人間関係での悩み、それを紐解いていくと根底にある関係性が見えてきます。
それは「共依存」という関係性です。
今回は、この「共依存」についてご紹介したいと思います。
共依存を知る上で
共依存を知る上でまずご説明しておきたいのが「嗜癖」という言葉です。
「嗜癖(しへき)」とは、「依存」とほぼ同じ意味の言葉で、「依存」は物質的なものに対して、「嗜癖」はそれ以外も含めたものに対しての過度な執着のことを指します。
嗜癖には、アルコールや薬物、食品のような物質の摂取を嗜癖とする「物質嗜癖」、ギャンブルや買い物、仕事などの行為の過程を嗜癖とする「過程嗜癖」があり、これらの基盤となっているのが人間関係を嗜癖とする「関係嗜癖」です。この「関係嗜癖」こそが「共依存」というものなのです。
共依存とは
さまざまな嗜癖の基礎である関係嗜癖が共依存なのですが、その基本は他人に対するコントロール欲求で、人に頼ることでその人をコントロールしようとする人と、他人に頼られることでその人をコントロールしようとする人との間に成立するような依存・被依存の関係です。
「他者あるいは他者の抱える問題への嗜癖、あるいはその問題との関係性への嗜癖」と定義づけられており、多くは、親子、夫婦、恋人、といった近しい関係に現れます。
この関係性は、アメリカのアルコール依存症の臨床において、患者の周囲には自らの生活すべてをかけて彼らを支えようとする人(多くは親や配偶者)がいること、そして彼らには患者の依存心に依存して、患者の回復ではなく病理の進行を無意識に後押ししている、ということに気が付いたことから、これ自体が深刻な病理として扱われるようになり、嗜癖者との関係性の病理をあらわす言葉として「共依存」という概念が成立しました。
こうして共依存という概念が成立したことにより、それまでは嗜癖者が先に存在していると考えられていましたが、共依存という関係性こそが病理の本質で、アルコールや薬物などの物質への嗜癖は二次的な現象に過ぎないと考えられるようになりました。
共依存者の特徴
共依存という関係性に陥っている人の主な特徴を挙げると次のようになります。
・自分を価値の低い者と感じ、自分が他者にとってなくてはならないものであろうと努力するため、過労に陥りやすい
・他者からの好意を得たがるため、だまされやすい。その結果、他者を尊敬できなくなる
・常に他者を第一に考え、自らは犠牲になることを選択する。また自己破壊的な傾向をももつ
・奉仕心が強く、他者のために自分の身体的、感情的、精神的欲求を抑える傾向が強い
・他者の世話を焼くことによって、その他者が自分へ依存するように導く。
・強い向上心を持った完全主義者で、自分は物事を完璧にやれないから良い人間ではない、方法さえ見出せば完璧にやりとげられるはずだと信じている
・自分と他人との境界が曖昧で、他人の感情の起伏の原因が自分にあると思ってしまう
・策略的な手段を用いる傾向があり、他者に対して不誠実、支配的で、自己中心的である
(A.W.シェフ)
また、 共依存の関係においては、常に他者に対する「支配をめぐる闘争」が見られるといわれています。他者を自らの身の安全を確保するための手段とみなし、評価を与えてくれる道具として利用しているという関係性の中では、他者を自分の思う方向へ動かそうと、お互い生きていくために闘争している状態なのです。
依存者・被依存者ともにこうした傾向を持っていることによって「共依存」という関係性から離脱できなくなるのです。
原因
共依存者は、ありのままの自分としては、他者に受け入れてもらえるだけの価値があるとは考えられないので、他者が求める「定義された自己像」に同調をしていき、DVを受けながらも「この人を立ち直らせることができるのは自分しかいない」と耐え続けたり、会社によって自分が必要とされ、評価されているという実感によって自己の存在意義を得ているワーカーホリックとなったりしてしまいます。
こうした思考パターンに陥る背景には、外部からの評価によって管理され、その評価ごとに階層分化されている現代社会の構造やそうした社会に過剰適応しようとしている人が多く存在しているということが考えられます。
こうした考えの家族のもとで育った子どもは、他者から評価されることでしか自己を実感できません。さらに学校制度はそれに拍車をかけるもので、その規範というものが、嗜癖者や共依存者を作りあげてしまっているという構造となっています。
対処
こうした共依存という関係性から抜け出すためにどうすれば良いのでしょうか。
まずは、共依存がどのようなものであるのかを知ることです。知って理解したうえで、自分がその状態なのかもしれないと思ったのなら、その時点で抜け出す一歩を踏み出しています。
共依存から回復するためには「個人の自律性」「再帰的(反省的)な自己認識」が必要だと言われています。
それを習得するために
・問題行動をやめさせようとすることをやめる
・自分の否定的な部分も含めて受け止めてくれる人と関わるようにする
・日常の小さなことを自分で決断する機会を増やす
・自分の思いに素直になる
・一人で過ごす時間を作る
ということを心がける必要があります。
焦らず、ひとつずつ出来る範囲で取り組めればいいと思います。
最後に
「共依存」という関係性はネガティブなようにも感じますが、過去の肩書同士の人間関係から、ひとりの人としての人間関係へ移行する中で生じた現象なのかもしれません。
共依存と向き合い、ありのままの自分として、ありのままの相手と純粋な人間関係を作れるようになることが、これからの私たちにとって必要なことなのではないでしょうか。
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<参照>
『「共依存co-dependency」の社会学的考察』(鍋山祥子)
『共依存の倫理ー精神分析と臨床心理を越えてー』(小西真理子)
『大学生の共依存傾向と自己愛傾向との関連について』(青木昭宏)