こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。
日が暮れるのも早い今の季節、夜の時間を楽しむ遊びというのも良いですよね。
例えば、部屋を暗くしてキャンドルで過ごすのもゆったりした気分で過ごせて良いですよね。
そんなお部屋の中だと、影絵なんかで遊ぶのも楽しいものです。
今回ご紹介する絵本は、そんな影絵で演じるお芝居が、あるおばあさんの人生を彩るお話です。
ちょっと不思議な世界観の このお話。
読めばきっと引き込まれますよ。
オフェリアと影の一座
作 :ミヒャエル・エンデ
絵 :フリードリヒ・ヘッヘルマン
訳 :矢川 澄子
発行:1988年10月7日 岩波書店
古い絵本ですが、やはりミヒャエル・エンデの物語なのでとても読み応えのある作品です。
不思議な世界と繋がっていきますが、それが日常からの延長でじんわり溶け込んでいく自然さがあり、優しさに包まれ存在意義を感じさせてくれる、そんな世界観が何とも心地良いです。
イラストの色合いは暗いのですが、なぜか光と温かみを感じます。物語にピッタリな絵が印象的です。
文字数が多いので、物語が好きな小学生のお子さんにオススメです。
読み聞かせであれば年長さんくらいのお子さんも楽しめると思いますよ。
登場人物
・オフェリアさん
・影たち
あらすじ
オフェリアさんという小さなおばあさんは、芝居好きの両親の影響で町の劇場で仕事をしています。
オフェリアさんの仕事は、舞台の小さなボックスに入り役者たちが途中でつっかえないように、みんなのセリフを小声でささやき続けることでした。
しかし、オフェリアさんは年を取り、時代の移り変わりで町の劇場に来るお客さんは減り、この劇場は閉じられることになりました。
最後の公演が済み、オフェリアさんはたった一人ボックスで思い出にふけります。
その時、舞台の奥に影法師がひとつ。オフェリアさんが声をかけると、影は驚いて「どうか追い出さないで」と懇願します。
影なら本来誰かの影のはずですが、この影は誰のものでもない影だと言います。
オフェリアさんが自分の影と仲良くしてくれるなら、私の影にならないかと声をかけると、カゲスキイというその影はオフェリアさんの影になりました。
それからは、誰のものでもない影と出合ったら自分の影として連れていくようになるオフェリアさん。
しかし数が増えてくると、影同士が喧嘩をし始めてしまいます。
喧嘩が大嫌いなオフェリアさんは、影たちに名作劇の数々を教えて暗唱できるように勉強させます。
影たちは色々な登場人物に姿を変えながら、オフェリアさんに素晴らしいお芝居を見せるまでになりますが、町の人たちはオフェリアさんを怪しみ始め、ついにはアパートを追い出されてしまいます。
トランク片手に町を出たオフェリアさん。
影たちはオフェリアさんに恩返しがしたいと、ある提案をします。
それは村から村へ巡り歩き、白いシーツの垂れ幕で影のお芝居をすること。
このお芝居はとても人気になり、見物代として観客が置いて行ってくれるお金で生活にも余裕ができてきました。
そこで、オフェリアさんが買ったのが1台の車。
その車の両わきに『オフェリアと影の一座』と描いてもらい、その後は世界中を駆け巡るようになりました。
ある日、オフェリアさんは吹雪を進んで立ち往生してしまいます。
そこで出会ったのは、並外れて大きく暗い影。
オフェリアさんは、この影も引き受けようとしますが・・・
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このような、ちょっと不思議なお話です。
影というと、少し暗いイメージですよね。
しかし、影は光と表裏一体でもあります。
この物語のラストは、そのことが感じられる大きなどんでん返しが待ち受けていますよ!
ぜひ、ドキドキ・ハラハラしながら読んでみてくださいね。
最後に
この物語は、年老いたおばあさんが主人公です。
そこに近づくのは「影」の存在。
働いていた劇場の閉館、住んでいた家・町との別れといった終焉と、新しい場所で新しいお芝居を始める黎明という対比からも感じられるように、物語の前半はどこか死が近づく様を感じます。
一方、後半では生まれ変わったように生き生きと楽し気に生きるオフェリアさんの様子が印象的。
影と光から、死と生について考えさせられる作品です。
生と死というと、少し冷たいイメージを持つかもしれませんが、この物語の良いところは、どちらの世界にも温かみを感じられるところ。
ミヒャエル・エンデの不思議で温かな世界観に是非浸ってみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございます
<ご紹介した絵本はこちら>
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