こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。
12月に入りましたが、まだ十分には気温が下がりきりませんね。
ようやく紅葉も見られるようになり、秋から冬へと移り変わっていく気配はありますが、暑い日もあったり急に寒くなったり、朝晩と日中の温度差があったりと、安定しない気温の中で自律神経も乱れがち。
そもそも現代社会は、電子媒体が身近にあり光や音の強い刺激を受けやすく、身体を動かすことも少ないので、自律神経は乱れやすい環境にあると言われています。
特に都市部では、夜もお店の照明は煌々と光り、街は活気に溢れているので出歩きやすく、寝る時間が遅くなり生活リズムも乱れがちです。
便利になればなるほど、私たちの身体は不調に悩まされるようになっているのかもしれませんね・・・。
そんな社会で育つ子どもたちは、成長段階から自律神経が整いにくいため、子どものうちからさまざまな不調を抱えている子が目立ちます。
今回は、子どもも大人も自律神経を整えるために意識したいことをご紹介します。
ここぞという時に力が出せない理由
人前で発表するとき、試合の本番などの場面では多くの場合緊張するものですよね。
緊張しながらも自分の力を精一杯出し切ることができれば良いのですが、人によっては緊張すると普段の力が出し切れない、ということがあります。
頭が真っ白になって何も話せなくなってしまう、手が震えてうまく演奏できない、前日の夜に眠れなくなってしまう等、状態が悪くなることで思考や行動が無意識に制限されてしまっているわけですね。
こうなってしまうのは、決して気持ちが弱いからではありません。
自律神経の乱れによって起きているのです。
お子さんやご自身が「本番に強い人」になるためには、自律神経を整える必要があるというわけですね。
いかにリラックスできるかがポイントになるので、お子さんが緊張している場合は安心させてあげる声掛けをしてあげるといいですよ。
「大丈夫」「できるよ」「思い切ってやっておいで」
こんな声掛けがきっと力になるはずです。
自律神経とは
そもそも自律神経とはどのようなものかよくわかりませんよね。
自律神経とは、生命維持に必要な機能を自動的に調整する神経のこと。
自分で意識しなくても心臓は動き、腸は消化吸収を行い、寝ている間も呼吸をしてくれていますよね。そういった機能を維持・調整し、身体にとって最適な状態を保っています。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があります。
・交感神経
活動時やストレスを感じたときに活発になる
呼吸や鼓動が速くなり、血圧が上昇
筋肉は緊張する
・副交感神経
リラックスしている時に活発になる
呼吸や鼓動、血圧は落ち着き、筋肉は緩む
消化吸収が促進される
この交感神経と副交感神経が、両方とも高く働きバランスが良い状態であれば健康な状態と言えますが、どちらかの働きが鈍くなったり過剰になることでバランスが崩れたり、両方とも働きが低くなってしまうと不調につながってしまいます。
自律神経が乱れると
自律神経のバランスが乱れてしまうと、体調や精神面に変化が表れます。
緊張して手に汗をかく、胸がドキドキして落ち着かないなどが分かりやすい例ですね。
こうした一時的なものは自然なことなのですが、これがずっと続いてしまうと慢性的な体調不良やメンタルの不調につながってしまいます。
うつ症状、自傷・他害、依存症などの問題の背景には、自律神経の乱れがあるとも言われています。
現代社会は強い刺激に晒されることが多く、ネット社会によるコミュニティの広がりから対人関係にもストレスを感じやすい環境にあり、常に緊張していてリラックスできる時が少ないので、大人に限らず子どもたちも自律神経が乱れてしまっています。
うつ症状、自傷・他害、依存症をはじめとした精神的な問題は、子どもたちにも多く見られるようになってきました。
周囲の人や社会を恨み、未来に希望を見出せない。そんな子が増えてしまわないように、大人たちは子どもの自律神経を整える工夫をしていかなければならないのだと思います。
大人も子どもも健やかに活き活きと生活できるように、自律神経を整えていく。
そのためにしなければならないことは、一言でいうならこれです。
自律神経を整える = 生活リズムを整える
まずは、睡眠・食事・運動を中心とした生活習慣を整えることから始めていきましょう。
自律神経が乱れる原因
そもそも自律神経が乱れる原因は何でしょうか。
○睡眠時間の減少
○運動機会の減少
○テレビ・スマホ・ゲーム時間の増加
○間食の機会・量の増加
○天気や気候
こうしたものが原因と言われています。
スマホやテレビなどを見すぎると、強い光や音の刺激でずっと興奮してしまいますし、ストレートネックなど不良姿勢による不調も起こりやすくなります。
睡眠、運動、食事などの生活習慣が乱れれば自律神経もそれに伴って乱れてしまいます。
忙しい現代社会ではなかなか難しいところではありますが、丁寧な生活を心がけることは大切なのだと思います。
また、季節の移り変わりや天気、気温、気圧の変化などの外的な要素も自律神経に影響を与えます。
私たち人間も自然の一部。自然の変化に合わせて身体は調整されているのですね。
その調整がうまくいくように、天気や気候を意識して生活することもまた大切なのですね。
自律神経を整えるために
不調が続くのは辛いですよね。
できるだけ自律神経を整えて、元気に過ごせるようにしたいものです。
そこで「自律神経を整えるためにできる10のこと」をご紹介しますね。
①呼吸を意識する
呼吸が浅くなると交感神経が暴走しやすくなるそうです。
ゆっくりフ〜っと深く息を吐き、ゆっくりと鼻から息を吸うようにすると副交感神経が刺激され、体の力が抜け気持ちも落ち着くようになります。ストレッチも取り入れると、より深く呼吸できるようになりますよ。
口呼吸にならないよう、日中は意識して口を閉じ、就寝中はイビキ防止のテープを口に貼ると鼻呼吸が習慣化しやすくなります。
お子さんがポカンと口を開けていたら口呼吸になっている可能性が高いので、声をかけて意識させるようにするのも大切です。
②小まめに水を飲む
水を飲むと胃腸が刺激され、副交感神経が活発になります。
あまり冷やしすぎないよう、常温やお白湯などにすると良いそうです。
また、水分の摂取量は1日に1.2〜1.5㍑(食事で摂る水分も含め)が適正量と言われていますので、飲み過ぎや飲まなさすぎには注意しながら適切に摂取しましょう。
また、糖分やカフェインも体の負担になりますので程々にすることも大切です。
③軽い運動をする
ストレッチやヨガ、ウォーキングなどを行うように心がけると、血流も良くなり余計な力も抜けるようになります。
座っている時間が長い方は、できるだけ意識して動くようにするのも大切です。
体の凝りも放っておかず、首を回すストレッチをしたりしてできるだけほぐすようにしましょう。
また、朝10分程度散歩するのも良いそうです。日光を浴びて朝のフレッシュな空気を吸うと自律神経が整い、調子良く1日を始められます。
④お風呂は湯船に浸かる
お風呂はシャワーで済ませず、湯船に浸かるようにしましょう。
ぬるめのお湯(39〜40℃)で10〜15分半身浴をすると、血流改善や疲労回復、リラックス効果が得られるそうです。
就寝直前ではなくベッドに入る1時間くらい前に入ると、深部体温が下がって寝つきが良くなると言われています。
⑤よく噛んでゆっくり食べる
よく噛まずに丸呑みにするような食べ方は胃腸に負担がかかります。
腸内環境も乱れ、自律神経の乱れにつながるので、テレビを見ながらなどよく噛まないで食べてしまう環境にも注意しましょう。
「30回噛む」を意識し、ゆっくり時間をかけて食べる習慣を身につけると、大食いも防ぐことができます。
また、食べ終わってすぐに寝ると胃腸に負担がかかるので、就寝3時間前には食べ終えておくようにするといいと言われています。
⑥スマホ・PC・タブレット・テレビなどの使用を減らす
画面からの強い光や音の刺激は交感神経を昂らせます。
特に夜は、寝る3時間くらい前から控えるようにすると良いそうです。
できれば寝るときはスマホの電源はOFFに。
また、SNSの書き込みの内容にストレスを感じることも多いので、特にお子さんはその影響を考えてSNSから距離を置く工夫をする方が良いですね。
⑦天気や気候の変化に合わせて生活する
天気や気候の移り変わりは避けることができませんが、その変化により自分の体がどう変化するのかをよく感じ取ることも大切です。
急な温度変化があった時、湿度が高い時、気圧が下がった時など、体に変化が起きやすい時は過ごし方に注意して、服装や睡眠、食事内容などを工夫しながら無理せずに過ごすことも意識しましょう。
自然の変化に対しては、うまく調整しながら受け入れていくことも必要ですね。
⑧環境を整える
物はすぐに片付け、生活環境はできるだけ整えましょう。
整った環境であればストレスも感じにくいので、「片付けなくちゃ」と思い続けないで済むように気付いたらすぐに片付けることが大切です。
職場などでも、机の上が何もないだけでスッキリとした気分になり、次の行動にも移りやすくなりますよね。
また、朝から慌てて交感神経を昂らせないためにも、翌日の準備は前日のうちにやっておくようにすると落ち着いた時間を確保しやすくなります。
⑨小さな感動に意識を向ける
日常の中で心が動く瞬間を大切にすると、自然とリラックスできるようになります。
音楽、絵、風景、食事、生き物など、ささやかな感動を誰かと共有したり、写真に撮ってみたりする。
そんな優しい時間を大切にしてみるのも良いですよ。
⑩好きなことに没頭する
好きなことをしている時は他のことは何も考えず没頭できますよね。
そんな無心になれる時間を作ることもリラックスにつながります。
例えば、塗り絵や編み物など単調な動きを繰り返すような作業は心を落ち着かせますし、子どもの頃にやったような遊びなんかも良いですよね。
テレビや動画を見る代わりに、好きなことに没頭する時間を持てると日々が豊かになるようにも思えてくるかもしれません。
最後に
自律神経の乱れは気になるけれど、整えるのはなかなか難しいと感じてしまいますよね。
最近の気候変動の激しさやデジタル機器に囲まれた環境の中にいると尚更です。
しかし、お子さんが落ち着かずに困っている、感情が昂りやすいのをどうにかしたい、とお悩みであれば、ご紹介した10個の方法のうち1つからでも良いので是非、生活に取り入れてみてください。
ご自身の不調にお悩みの場合もです。
できることから少しずつ。
大変な世の中だからこそ、元気に心穏やかに過ごしていきましょうね。
<参考>
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