こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。
秋になり良い季節になりましたね。
過ごしやすいこの季節にはゆったり読書にふけりたくなる方もいらっしゃることでしょう。
毎年10月27日〜11月9日は読書週間。
文化の日を中心にしたこの2週間の読書週間をひとつのキッカケとして、この機会に読書を始めてみませんか?
今回は読書によって得られる効果をご紹介し、読書をきっかけに人生をより豊かに味わってもらいたいと思います。
読書の意義
文部科学省では
読書することは、「考える力」、「感じる力」、「表す力」等を育てるとともに、豊かな情操をはぐくみ、すべての活動の基盤となる「価値・教養・感性等」を生涯を通じて涵養していく上でも、極めて重要である。また、特に、変化の激しい現代社会の中、自らの責任で主体的に判断を行いながら自立して生きていくためには、必要な情報を収集し、取捨選択する能力を、誰もが身に付けていかなければならない。すなわち、これからの時代において、読み・調べることの意義は、増すことはあっても決して減ることはない。
と読書の意義を謳っています。
水が自然にしみこむように、少しずつ養い育てること。
人の内面を育んでいくことが、人生をより良く生きていくために必要です。
目に見えるもの、聞こえるもの、触れられるものなどの情報を正しく判断していくのはもちろんのこと、目に見えない自分の気持ちや人の気持ちを感じ取り、言葉では表現できない芸術や自然から感じるものを豊かに感じ取る感性と表現する力を身に付けることで、より深くこの世界を理解していけるようになります。
本を読むことは、人の内面を育むとても良い時間です。
想像力と創造力を膨らませ、そして知識をたくさんの本から吸収する習慣作りができるといいですね。
読書によって得られる力
では、人の内面を育むために読書によってどんな能力が身につくのか、具体的に例を挙げてみましょう。
語彙力
言葉をたくさん知ることで、人に伝える表現が豊かになります。
音声の会話だけでは言葉のバリエーションが少なく、関わる人の語彙力に依存するため、表現力の広がりには限界があります。
しかし、言葉を文字にして伝える本は、会話のように身振り手振りや表情で表現できない分、より詳細に表現するために似たような言葉でもニュアンスの違いを上手く使い分けて書き表されています。
また、単語だけではなく、文法もうまく使いこなしながら多様な表現がなされているところも、読み手の表現力を刺激するところでしょう。
好きな作家さん以外にも色々な人の本を読むことで、それぞれの語彙力や表現力を学び、自分自身の表現力の広がりを得られるようになります。
知識力
何かわからないことがあれば、インターネットで情報を得ることが多いと思います。
しかし、書籍のように出版社による校正や内容の精査が行われているわけではないネット情報は情報源が不確かなものも多く、情報源があっても解釈が誤っていることもあります。
便利なのですが、簡単に手に入るからこそのリスクもあるということです。
また、アルゴリズムにより過去の履歴からより偏った情報ばかり目にするようにもなっているため、情報の多様性が得られません。
能動的に本を読むという行為は、より確実な知識をより多様なジャンルから得ることができます。
本を書く人は、ある分野において専門知識や十分な経験があり、名前を出して本を書く以上、情報に対する責任を負っています。
もちろん”著者の見解”への賛否はありますが、様々な作家の本を読むことで「なぜそう考えるのか」「別の視点ではこう考えられる」など、さらなる知識の広がりを得ることにもつながり、情報の取捨選択の力も養うことができるようにもなります。
世の中にあふれる情報に翻弄されてしまわないように、本から適切で多様な知識を得ることこそが、この情報社会を生き抜いていくために必要なものなのです。
想像力
本を読むというのは、ただ文字を追っているだけではなく、あなたの頭の中に何かが映し出されているはずです。
本に書かれていることを想像して、擬似体験をしていますよね。
物語を読んでいるなら、主人公になりきってその物語の世界を体験していることでしょう。
物理的には見ることのできないVRのような感じ。
本の中の世界に入り込んで、物語の主人公になったり、作者と対話したり、自分の体験を想起したり。
頭の中で繰り広げられる擬似体験は、想像力そのものです。
この擬似体験を繰り返せば繰り返すほど、想像力が育まれ、自分の心の内側に目を向ける習慣や他者の心の内側を慮る習慣が身につくようになります。
創造力・思考力
創造力や思考力というものは、知識や経験、想像力、語彙力があってこそ発揮されるものです。
クリエイティブに何かを創りだすとき、何もないところから突然閃いて創作にあたるというイメージがあるかもしれませんが、新しいものとは0からではなく既に存在するものの組み合わせによって生み出されます。
すなわち、知識や経験が多いほど組み合わせの可能性が増え、想像力の豊かさがそれらをつなぎ合わせてくれるということです。
そしてそこにもう一つ必要なのが、外から得た情報に対し「なぜだろう」「どうしたら良いのだろう」と疑問を持ち、物事を理解する思考力。
自らの考えを整理し、自分なりの見解をもつことで広い視野でものごとを創造できるようになります。
そして、語彙力をはじめとした表現力によって内側で想像されたものを自分の外側に表すことができます。
集中力
文字を目で追い、頭の中で音に変換し、言葉や文章の意味を理解する。
そんな作業が行われる読書。これは集中力を要する作業です。
何度も何度も繰り返すことで、集中する力がつくようになります。
はじめのうちは集中することに疲れてしまうかもしれませんが、慣れてくると本の世界観に没頭できるほど集中できるようになります。
読書によって鍛えられた集中力は、学習や運動など自分の能力を高めようとするときに大きな役割を果たしてくれます。
集中力が高ければ物事を習得する力も高まり、生きやすさを掴んでいきやすくもなるでしょう。
メタ認知能力
メタ認知能力とは、自分の認知(考えていること)を客観的に把握する能力のことです。第三者の視点で自分が置かれている状況を見るというイメージですね。
メタ認知能力があると、困ったことが起きたとき、ネガティブな感情が湧き上がってきたときに、冷静にその状況や自分の感情を分析し、適切な対処ができるようになります。
このメタ認知能力を高める方法のひとつとして、読書が挙げられます。
特に物語などは登場人物の心情や行動が第三者の視点で描かれていいるため、客観的に状況や心情を理解する力が養われます。
また、心情や置かれている背景といった目に見えないものを理解する力が育まれ、自分の気持ちの理解はもちろん他者への共感力も養われます。
ストレスの軽減にも効果
本を読むことはストレスの軽減にもつながります。
本を読んでいる時間は、その本に没頭しその世界観の中で思いを巡らせられる時間。
何かに没頭している時は現実での嫌なこと頭を悩ませていること等は忘れてしまっていますよね。
本の世界の中で感情や思考を思う存分に働かせ、脳が適度に刺激されることでリフレッシュ効果も得られると言われています。
また、静かな場所で飲み物を飲みながら、ゆったりと椅子やソファに座って本を読むことが多いと思いますが、そうした環境の中に身を置くこともまたリラックスにつながります。
テレビや動画など目や耳からの刺激が強いものは興奮を誘い疲れてしまいますが、読書は文字や絵の刺激のみで強い刺激にさらされることはありません。
こうした刺激の限られた環境が安心を感じさせリラックスできるようになるのです。
疲れたときやちょっと嫌なことがあったときこそ読書に没頭すると気分が晴れると思いますよ。
最後に
読書をすることによって、語彙力・知識力を基盤として、五感で感じられない情報や含みを持った文字表現に対して想像力を使って補い、それを思考し、自分の内面に湧き上がる創造性を表現していく、という力が育まれます。
ただ『情報を入力する』というだけではなく、限りのある文字表現の足りない情報を想像力で補い、「これはどういう意味だろう」「この知識をもう少し深く知りたい」と他の情報とも結びつけながら『自分の言葉』に置き換えていく。
このプロセスを得られるのが読書であり、一つの本をじっくり読み込むことで内面深さを育み、色々なジャンルの本をたくさん読むことで広い視野をもって考えられる力が身に付きます。
読書習慣の有無や年間の読書量が収入延いては社会階級にも反映されるとも言われていますが、
「読書は面倒だなぁ」「ついつい積読しちゃうんだよなぁ」「時間がなくて…」
そう思ってしまっている方も多いと思います。
だけど【毎日1行】からなら始められるのではないでしょうか。
今日のあなたの読書が、将来のあなたを助けてくれる。
そんな風に思って今からまず1行、本を読んでみませんか。
そして、子どもたちにも読書の習慣を身に付けてあげられるように、親子で"本読みの時間"を日課にしてみてはいかがでしょうか。
心豊かな人生を歩んでいく一歩として、読書の秋に身近な人と読書を楽しんでみてくださいね。
<参考>
・読書は脳の想像力を高めるーなぜ「紙の本」が必要なのかー
・読書の心理的効果に関する研究
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