こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。
家庭で、学校生活で、外出先で、子どもが落ち着かなくなったり、機嫌が悪くなったりすることってありますよね。
「もういいから!」「何でワガママ言うの?!」「泣かないの!」
何を言っても埒があかないから結局怒ってしまうことも少なくないと思います。
神経発達症(発達障害)や、その傾向のあるお子さんは特にそうですよね。
子どもが落ち着かないのはどうしてなのでしょう?
機嫌が悪くなってしまうきっかけや原因はどこにあるのでしょうか?
今回はそんな疑問にお答えし、対応方法をお伝えしますね!
子どものネガティブ反応の原因とは
子どもが落ち着かなくなったり、機嫌が悪くなったりすると、望ましくない行動をするようになったり、言うことを聞けなくなったりします。
まず、この状態は「興奮状態」であることを知っておいてください。
興奮していると刺激に過剰反応したり、入ってくる情報を遮断してしまったりします。
その状態では、何を言ってもほとんど効果はありません。
そもそも興奮してしまうということは、何か「きっかけ」があったはずです。
まずは「きっかけ」に目を向ける。その意識が大切になります。
いきなり「きっかけ」に目を向ける、と言われても実際にやってみるとなかなか難しいかもしれません。
そこで、きっかけに気付けるようになるために、どのような例があるのかをご紹介します。
<感覚の過敏さがある場合>
・音が大きくてうるさい
・色々な音が聞こえて不快
・光が眩しい
・目に見える情報が多すぎる
・服が肌に当たる感覚が気になる
・椅子が接触する感覚が気になる
・臭いが気になる
・食べ物の味や舌触りが不快
<感覚の鈍感さがある場合>
・たくさん音を鳴らしたい
・じっとしていると体を動かしたり喋ったりして刺激を感じたくなる
・回転する椅子でぐるぐる回りたい
・ピッタリする服の方が安心する
・暑い、寒いがわからない
<不安感が強い場合>
・完璧にできない自分が許せない
・初めての場所が怖い
・何が起きるか想像できなくて怖い
・いつもと違うと不安
・本人にとって高すぎる目標で逃げたくなる
・やったのに認めてもらえなかった
・親と離れると不安
多くの人の場合あまり気にならないことでも、感覚の過敏さや鈍感さがあるとつらく感じるものです。
感覚というものは比べることが難しいので違いに気付きづらいのですが、お子さんにこうした感覚の困り感があるかをよく観察したり、話を聞いてみることが大切です。
また、不安感を感じやすいお子さんもいます。
認知のゆがみがあったり、愛着の問題があったり、失敗体験が多かったり、と言ったことから、大人から見ればちょっとしたことでも不安がって情緒が安定しなくなります。
どんな場面に不安を感じやすいのか、状況・関わり方・与える課題の難易度などを振り返ってみることが必要になります。
落ち着きのなさや機嫌の悪さは「気持ちの問題」と片付けてしまいがちですが、実はこうした「環境」がきっかけになっていることが多いのです。
子どもが安心するために必要なこと
環境の影響は普段意識することはあまりないかもしれません。
しかし、どんな人も実は無意識に影響を感じ取っています。
これが極端になれば環境の影響を意識しやすいと思います。そこで、次の例を想像してみてください。
例えば、近所からずっと騒音の聞こえる家に住んでいるとしたら、あなたの気持ちはどうなりますか?
イライラしたり、不安定になったり、「もう!うるさい!」なんて叫んだりしたくなりませんか。
また、全く刺激のない真っ白で窓もない部屋に閉じ込められたら、どうなるでしょう?
ジャンプしたり、歌ったり、壁を触ったり、何とか刺激を感じようとしますよね。
環境を工夫して、余計な刺激をなくしたり、必要な刺激を与えたりして刺激のバランスを整えてあげることが、子どもの安心につながります。
余計なストレスがかからないようにしてあげると、集中力が高まり必要な学びのための刺激が受け入れられるようになるのです。
何でもかんでも我慢できるようになってこそ!
なんて思う方がいるかもしれませんが、我慢している環境では常にエネルギーを一定量消費している状態。
本当はもっと学びに使えるエネルギーがあるのに、必要なところに使えなくて損をしています。
学びに集中できるように、余計なストレスは省いてあげるように環境を工夫してあげてくださいね。
過ごしやすい環境づくり
環境とは、①自然的環境②社会的環境の大きく2つに分類することができます。
この分類ごとにストレスのかかりにくい工夫をいくつかご紹介します。
①自然的環境
自然的環境を考える時には、主に空間と時間を意識すると良いです。
【空間】
- 余計な刺激がない空間
- 注意を向けるものがはっきりとしている空間
- 自分のいるべき場所が分かりやすく確保されている空間
【時間】
- 時間の始まりと終わりがはっきりとしている
- 短くもなく長くもない時間
- 静と動が適度に繰り返される
- 次に何をするか予測できる
自然的環境は、刺激の量・具体性を調整することがポイントです。
②社会的環境
社会的環境を考える時には、主に情報と対人関係を意識すると良いです。
【情報】
- 言葉のように、人によって意味が異なったり、一瞬で消えたりしない
- 今、必要な情報が、具体的にわかる
- するべきことが視覚的にいつでも確認できる
- 自分に向けられているとはっきりとわかる
【対人関係】
- みんなと一緒にすることが楽しいと思える
- 希望を聞いてもらえる・子どもの希望に沿っている
- うまくできない時には、どうすればいいか一緒に考えてもらえる
社会的環境は、目に見えないものを見える化してあげること、気持ちを汲んであげることがポイントです。
これらのポイントを押さえて環境を工夫すると、お子さんのストレスが軽減され、安心して過ごせるようになります。
最後に
人は誰しも不安や不快を感じれば、機嫌が悪くなってしまうものです。
「どうしてあの人はこんなことするんだ!」
「○○が怖い!」
「○○になったらどうしよう・・・!」
という思いが湧きあがった瞬間から、そのことしか考えられなくなりますよね。
不安や不快を全く無くしてしまうことはできませんが、工夫して減らせるところは減らしていくことは大切です。
身のまわりの環境を居心地の良い環境にし、本当に集中しなければならないことに集中できると、人生がより豊かなものになります。
これは、子どもも同じ。
学び、成長する時期だからこそ、その子が取り組むべき課題に集中できるよう、余計な不快感や不安を取り除いてあげる。
子どもはまだ自分では環境調整ができません。だから、大人が気付いてサポートしてあげることが大切なのです。
やり始めればキリがないかもしれません。
それでも出来るところから少しだけ、お子さんが安心できる環境づくりをしていけると良いですね。
最後までお読みいただきありがとうございます
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